ついに「ものすごく前向きな魔王様と勇者の末裔ちゃん」が完結しました。
読んでくださった方、本当にありがとうございます。完結してからしばらく経ちましたが、後書きをこちらにも書いておくことにしました。
この作品は初めて長編の目安である十万字を越えて完結した作品です。初の長編小説になりました。それだけで感無量です。
この作品を書いたきっかけは勇者と魔王という定番のお話を今まで自分が書いてきたファンタジーの世界で考えてみようと思ったことがきっかけです。
なぜか魔王なのに悪いことを全くしない明るくて前向きな魔王様が脳内に爆誕しました。この魔王様を想像しているととても明るい気持ちになれたので、脳内の想像に留めておくのはもったいない、この魔王様が主人公の小説がこの世に存在してほしい!!!と思って書き始めました。
一番考えたのは魔王の種族でした。魔族の王という設定が定番ですが、本当に魔族の王様ということにすると世界を支配する気が全くないことや、魔王らしくない言動をとることが説明できないと思い、種族から考え直しました。月影の民という種族をこの小説のために考えましたが、結果的に魔王が月見をするシーンができたり、月見の花という魔王を象徴する花が出せたりしました。自分のファンタジーの世界にも合っていたので良かったと思います。
数百年封印されていたことを、よく寝たぐらいにしか思っていないことにしたので、結果として数千年は生きていないとそう思わないような…と考え、すごく長生きする種族になりました。数千年も何とか一人で生きてきた魔王が、人生で何が起こっても大丈夫と前向きに言ってくれると本当に何とかなりそうな気がして、そういう意味で「ものすごく前向きな魔王様」になったなあと思いました。
魔王の部下というのは幹部がいて、他に大量のモンスターの手下がいるというのが定番ですが、魔王らしくない魔王ということで、全部で部下が五人しかいないことにしました。その代わりに彼らとは特別な絆で結ばれています。部下もドラゴンなのに臆病、クイズが好きなグリフォンのようにちょっと呑気な感じのキャラクターたちにしました。普通は主従関係のみだと思いますが、魔王が心配でついて来ているみたいな、ちょっとずれた理由で仲間になっていることにしてみました。
今回の小説はとにかくこの魔王の明るさや面白い部分を伝えたいと思い、その気持ちだけで書き続けました。各話ごとにどの伏線を張ったか、どの設定を説明したかを記録し、お互いに矛盾が出ないように管理しました。
魔王様が魔王らしくない行動をとり続けるだけでは分かりづらいので、読者と似た観点に立つキャラクターとして勇者の末裔ちゃんを出しました。勇者の末裔ちゃんは常識的な一般人代表で、王道の勇者と魔王の物語を知っている立場のキャラクターです。勇者の末裔ちゃんに魔王らしくない点を突っ込んでもらいました。話が伝わりやすくなっていたら嬉しいです。最終的には勇者という役割を持たない(かといって勇者の末裔の一人なので魔王と無関係ではない)一般人にできることを考えるという熱いキャラクターになりました。
わたしは今まで小説家になろうで同じファンタジーの世界を舞台にした小説を投稿してきました。だんだんと自分のファンタジーの世界の設定が拡張したり、まとまったりしてきていたのですが、今回の作品がその集大成になりました。本当に完結できてよかったです。
更にカクヨムでも活動することを決めるきっかけになったので、本当に記念になる作品になりました。
実を言うとこの明るい魔王様と魔王の部下たち、勇者の末裔ちゃんはとても気に入っているので、また同じシリーズの作品は書きたいです。
本編で書ききれなかった彼らの日常などを連作短編形式で書けたらなーと考えています。実は何作かもう書けているので、溜まったら上げようと思います。
それでは、次回作でお会いしましょう!!