カクヨムコンを終えて――反省会場――

いや、まだ終わってないんですけどね。
しかし俊介さんのお話が終わった以上、僕の中では一つの区切りなのかなと思います。

僕も最近は結構色々な本を読む様になったのですが、こういった物語って終わった後も、その人達の物語は続いていくんですよね。
存在しない世界で、だけど誰かの心の中で続いていってくんじゃないのかなって、そう最近思う様になりました。

俊介さんの物語でもっと書きたかったなぁって思う部分が一個ありまして。
それは、詩さんの物語なんですよね。

気付きました? 彼女の目的。
あの子だけ俊介さん目当てじゃないんですよ。

そりゃあね、おっぱい見せたり、ウェディングドレス着てたり、詩ママって呼ばせてたりしてましたけど。
それでも、あの子の大本命は別にいます。それが誰か……まぁ、書くこともないので明かしますが、それは遠越君です。

詩さんが一番気にしてたのは、琴子さんと遠越君の距離なんです。
明らかにある時を境に近付きましたよね、あの二人。

遠越君の方は仕事を覚えなきゃってのと、やっぱりどこかに琴子さんへの恋心があったと思うんです。
琴子さんの方は全くもって眼中に無かったんですけど、それでも詩さんとしては不安なんです。

だから同じ家に住み、同じ会社に入り、徹底して琴子さんをマークしてるんです。
だったらとっとと告白するなり何かしろよー! って思うかもしれませんが、詩さんって自分の恋には不器用な子なんですよね。
誰彼構わず告白OKしちゃったり、なんか変な誤解を生む生き方しか出来ないんです。

んー、詩ちゃん好きだったなー。

そしてラスト……いや、最後の最後であれはちょっと凄いなって思います。
百合とはまた違う同性愛者なのかなって、いや、違うかな? まぁとにかく、また違う一つの愛の形だと感じました。人間愛かな……うむむ。

同じ感じとしては、茜乃さんと富木菟がそんな感じだったんでしょうね。
ごめんなさいね、多分、富木菟(とみつぐ)さんって読めないですよね。
でもね、富木菟で検索掛けると出て来るんですよ、古事記とかかな? 
多分偉い人の名前か何かが由来だったはずなんです。
茜乃さんは逆に覚えやすいし、使いやすい名前だなって思いました。多分、どこかでまた出て来ると思います。

三人一緒になるって、多分ああいう事なんだろうなって、僕なりの一つの答えです。
だって、普通嫉妬しますよ、誰だってそう考えると思います。
だけど、それを乗り越えて一人の男を愛するって、絶対にその二人も愛し合っていると思うんです。

祥子さんと琴子さんがいつから互いを想いあっていたのか。
明確に描かれた場面はありませんが、何があったから恋に落ちるって事でもないと思います。
それこそ会えば会うほど惚れてしまうザイオンス効果ってやつなのかもしれませんが、加えて祥子さんと琴子さんは同じ目的もありましたもんね。

それは三人を繋ぎとめていた菜穂ちゃんの存在です。あの子の立場は、描き方一つで不幸になる事も往々に考えられる危うい立ち位置の子供でした。再婚に当たって間違いなく邪魔者扱いされてしまう可能性だって秘めているんです。ですが、俊介さんがただひたすらに愛を貫き、菜穂だけは幸せにしてみせるという覚悟が、あの三人の関係を作ったと言っても過言ではありません。

最後に凪さん。お判りになった方は少ないかもですが、彼女だけは唯一の同性愛者でした。
しょうがないと思います、男としてずっと育てられてしまったんですから、そりゃ凪さんが女の子を好きになるのは本能です。
所々に凪さんが同性愛者だという伏線は見え隠れしてました。最初に俊介さんと会った時にも「それは、同性愛者なのか?」とわざわざ口にしていますし、
婚活のシーンでも男にはほとんど興味が湧かないんです。だからなんでしょうね、海縁さんが「どうせお前は着ない」って言ったのは。
いや、お前がそれを言うなよって思う所なんですが、捉え方はそれぞれなのかなって思います。
でも、彼女が唯一好きになれそうな異性が、俊介さんなんですよね。しかし俊介さんは妹である琴子さんの最愛の人です。
ところどころというか、ほぼほぼ全面に好意を出していましたが、どこか壁を一枚設けている。
好きになってはいけない相手だと、凪さんは心に決めています。だから練習を重ねているんですよね。
健気な子です……もっと凪さんを幸せにしてあげたかった。

シングルマザーにシングルファザーは現実に多数存在します。
もっとそこの暗い部分に焦点を当てるべきだったのかもしれませんが、それでも明るい最後を迎えたいと思っていました。
大変な方も現実には多数いらっしゃると思います、僕の作品を読んで少しでも気が晴れてくれたら、それはとても幸せな事です。

最後になりますが、気付けば三十万文字近い大長編になってしまった今作を最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。
こんな長文の近況報告も隅々まで読んで頂けるとか、恐悦至極でございます。

カクヨムコンの結果がどうあれ、物書きを辞めるつもりはありません。
次はカクヨムで開催している電撃文庫の公募に応募する予定です。

面白いものをこれからも書いていきますので、応援のほど、宜しくお願い致します。
2023年1月31日 書峰颯

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