シヲンヌ

雲一つ無い晴天。草木が青々と茂るこの季節に、今。“私”は壇上にて、友人代表としてはなむけを贈ろうとしていた。嗚呼。もう少しで、あと少しで。彼女は遠い存在になってしまうのか。その事…

「ようこそ、世界が繋がるところ──クロックヴィクトリアンに」 高校1年生の夏休み。 暇を持て余して炎天下を歩いていた波須羽澪羅(はすば れいら)は、ふと見慣れない店を見つける。好…

訳あって一人で川の夏祭りに来た“わたし”。 打ち上げ花火のベストポジションを探していると、誰かが自分を呼ぶのが聞こえて── ※Twitter（X）にあげた話と同じものです。小説…

わからなかった。なりたいものもやりたいことも何一つ。 女子高生の狩田美緒は進路調査を再提出することになる。しかし彼女の望みは現状維持。目標も何もない彼女の筆は進まなかった。 …

午前3時半を回った頃のことだった。すっと“私”は目が覚める。 気分は最悪だ。なんていっても本日は土曜日。職場が休みだから、優雅に朝寝坊する予定だったのだ。そのために家事も全部終わ…

肌寒い日でした。 朝から雨の降る、湿れども寒さが漂う日でした。 然うして幕が降りた、はずでございました。

私、佐之宮雪乃は聞いてしまいました。昼休み、体育館裏での砕かれた告白を。そして気づいてしまいました。私、あの人のことが好きなのだと。

何の気なしに入った店だった。仕事までの小休止に来店した喫茶店だった。そこで彼――星野辰也は一人の女性客と出逢う。それは世界にとって、ドリップの一滴にも満たない邂逅。しかし彼にとっ…