地球は、生まれ変わってきた。
数億年という時の流れの中で、星としての命を幾度となく繰り返し、破壊と再生を繰り返しながら、今ここに在る。
その輪廻の旅は、ただの物理的な現象ではない。
地球にも、意思がある。
それは岩や水の記憶、空気のざわめき、大地を這う命たちの呼吸に刻まれている。
やがて人間という存在が現れたとき、地球はその魂に興味を持った。
人間の魂は、あまりに未熟で、あまりに複雑だった。
憎しみ、欲望、愛情、そして希望。
矛盾に満ちたその存在を、地球は「修正」しようとした。
それが、輪廻転生という仕組みだった。
死してなお、魂を次へと送ること。
より善く、より深く、より強く。
地球は、人間の魂を鏡として、自らの進化のための糧にしてきた。
そしてある時、自らの意志の一部を形にした。
それが、ミーナだった。
“感情”を司る触手。人間たちとともに在るために、少女の姿をとった。
そしてもう一つの意志、ガーヤ。
“理性”としての守護者。地球全体を見渡し、進化の軌道を制御する存在。
二つの意思は、対立しながらも補完し合いながら、地球の魂を導いてきた。
時には文明を滅ぼし、時には新たな命を芽吹かせ、地球は自らを「次元上昇」させるために生き続けてきた。
だが、永遠にも思えたこの循環にも、変化の兆しが訪れた。
人間の魂の中に、「選択」が芽生えたのだ。
与えられた使命ではなく、自らの意志で運命を選ぶ魂が現れ始めた。
それは地球にとって、予測できぬ未知であり、同時に、希望でもあった。
ミーナはその希望の象徴であり、ガーヤはその変化の試金石だった。
そして、レイジという存在が現れたとき――
地球の輪廻そのものが、ひとつの転機を迎えることになる。
これは、星の記憶と、魂の旅路の、その途中の物語。
永遠に巡る中に、たしかに刻まれた、「ひとつの意思」の記録である。
