芝犬尾々

長い間、彼と過ごしてきた。 居心地のよいぬるま湯のような関係。 それはいつしか心を凍えさせてしまうだろう。 だから私は冬の訪れとともに彼のもとを去ることを決意した。

夢を持ち上京した男は望まぬ結婚をし、冷たい東京の街にいた。 そんなある日、故郷に残してきたかつての恋人から電話があった。 母が死んだという。彼女をあの地に縛り付けていた枷が無くな…

目には目を、悪には悪を。 ホワイト清掃会社は『美しい世界のために』という理念のもとに、裏では殺し屋を雇い外道どもを葬ってきた。 全世界を巻き込む大感染から二十年。世界経済は麻痺し…

僕ことみどり君は大学一年生の冬、人生を謳歌していた。 自分には不釣り合いなほどに出来た恋人がいるからだ。 彼女は揚尾きつねといい、文武両道で人望も厚く、友人も多かった。 みどり君…

長編がなかなか書けないので、短編をまとめてあげていきます。 ○はホワイトな話。●はブラックな話。□はどちらとも言い難い系。となっております。 読む際の目安にどうぞ。また「この話は…

「百文字語」とは句読点・括弧・記号、それらすべてを含んでぴったり百文字――多くても少なくてもいけない――で紡がれる物語。 というわけで、２０１９年４月からTwitter上で開始…

七色先輩と後輩である僕の何気ない日常の一週間。 現実から目を背け続ける、夢のような日々。 ※暴力的・性的な行為を想起させる成分があります。苦手な方はご注意ください。 ※筆者はラ…

とある三流大学の正門前、樹齢百年とも二百年とも言われる桜の木の下で、門田くんのポケットからビスケットが溢れ出した。 ポケットの中にはビスケットがひとつ。ポケットを叩くとビスケット…

白い霧、灰色の川。 およそ現実とは思えない世界で私は目覚めた。 船尾に立つ黒い外套を羽織った男が言う。 記憶を間違えると、私が消えると――。 赤ん坊の泣き声、幼い友情、夕日に染ま…

図書資料室で資料整理を言い渡された少女たち。 そこで見つけたトンデモ論文を笑い飛ばす彼女たちだったが……。

どうにか手に入れた短い夏休み。意気揚々と南の島へひとっとび。 バカンスにはロマンスだと息巻いてひとりの美女に声をかけたまではよかったが、気づけばサングラスの男に囲まれふたつのコ…