辺りは黒の帳に包まれている。
私は訳も分からず、この下水道のような場所をガムシャラに走っていた。
私「ハア、ハア……撒けたか、アイツを……ッ」
私は振り返って、辺りを見回す。
(誰もいない。よかっ)
ガチャ
後頭部に、冷たくて硬いものを感じた。拳銃だ。私は恐怖で一ミリも動けなくなった。
後ろに、アイツがいる。
???「逃げんじゃあねえよっと!」
私はアイツに背中を思いっきり蹴られる。地面に転がる。コンクリートが肌にあたって痛い。
こんなにやられているのに、私はアイツを見上げることしかできない。
どこから漏れているか知らないが、光が差す。真っ暗ではっきりとしていなかったアイツの顔が、映し出される。
――――それは、紛れもない、私の顔。
一カ月前の私「お前言ったよなあ! バトル物を書くって!」
現在の私「すみませんごめんなさい忙しかったんです書けなくて」
現在の私は一カ月前の自分に向けてジャンピング土下座をかました。
一カ月前の私「はあ!? 嘘なのは分かってんだぞ! ほとんどツイッター見漁ってただけだろ!」
現在の私は一カ月前の私に腹を蹴られる。
現在の私「ごめんなさいBL漫画読みまくってました」
一カ月前の私「それに懲りてネット断ちしたと思ったら、今度は歴史関連の本にかまけてただろ!」
現在の私「すみませんでも今後の歴史創作につかえ」
一カ月前の私「執筆してなかったのは一緒だろ!」
一カ月前の自分に踏みつぶされる顔。
一カ月前の私「そんなに呑気だから一月中に投稿できなかったんだろ!」
現在の私「お願い許して英検の勉強で忙しか」
一カ月前「その挙句、二月に投稿したと思ったら、まーた恋愛ものか!!」
現在の私「いや、やっぱりそれが一番書きやすいんです」
私のか細い声が気に入らなかったのか、一カ月前の私は、銃弾を二発ぶっ放した。
ドンッドンッ
私の脚スレスレに被弾する。
一カ月前の私「なら、現代恋愛×バトルもの、とか書きゃいいだろ! スケバンの百合ものとか面白そうじゃねえか!!」
現在の私「いや、でも書こうって思うと話が思い浮かばないというか」
一カ月前の私「あ゛あ゛ん?」
現在の私「ヒッ(やばい、殺される!)」
私は直感した。引きこもり気質の体は、アイツの脅しと蹴りとパンチで、動けないほどボロボロだ。
何か考えなければ、この状況を脱する方法を。
そもそも、アイツは何処からやって来たんだ? 時空の歪みが発生したのか?
ここはどこなんだ? こんなところ初めて来る。
そして、アイツの目的は? 何のためにやってきた?
頭の中のピースが組み合わさっていき、遂に、私は一つの仮説に辿り着いた。
(――これなら、アイツを倒せるかもしれない)
一カ月前の私「さあて、じゃあお前のその脳に一発ぶち込んで、計画性のなさを直してやろうじゃねえか」
現在の私「フフフ、それはどうかな」
一カ月前の私「お得意の現実逃避か?それn」
現在の私「そうだよ」
私は不敵に笑って見せる。
次の瞬間、一カ月前の私のどてっ腹に、穴が開いた。
一カ月前の私「なんじゃこりゃああ!」
現在の私「そもそも、タイムリープが2026年現在の技術でできるわけがない。しかも私には、一カ月前に、タイムリープして未来の自分を半殺しにした経験なんてないしな。それに、本当にお前が私自身なら、戦闘能力があり過ぎる」
アイツの顔が歪む。
現在の私「じゃあ、お前は何なのか? 自分を責め、その高い身体能力で一方的に現在の自分を痛めつける」
一カ月前の私「……」
現在の私「そう! お前は私の自責の念が具体化したもの! ここは私が無意識に作り出した世界!」
一カ月前の私「くそ、見破られたか……」
しかし、アイツは余裕の表情を浮かべる。
一カ月前の私「だからどうした! お前はキモイ妄想厨! 簡単に精神世界から抜け出せないだろ」
現在の私「だから、とっておきの『私』を召還したのさ」
私がそう言い終えたとき、アイツの頭に銃弾が撃ち込まれた。銃の放たれた方を見ると、『三カ月前の私』が銃を握っていた。
現在の私「自責の念には自責の念さ。三カ月前の私は『やばい、授業中もずっと妄想しすぎて成績落ちそう、妄想反対・現実最高』って精神世界から一番距離を置いていたからな。きっと精神世界を利用するお前を殺してくれると思ったよ」
一カ月前の私「どうやって呼び寄せた……!」
現在の私「まあ、ここ私の精神世界だし。ご都合主義ってことで」
一カ月前の私「……駄目だこいつ、バトルもの書くの向いてねえ」
現在の私「いやん悲しいこと言わないで。がんばるから」
その時だった。私の体は急に下から引っ張られているように重くなり始めた。私は立っていられなくなり、倒れる。
現在の私「な、なにい!?」
一カ月前の私「ざまあ見ろ! 現在のお前が存在できている理由は何か? 一カ月前の私がいたからだよ!」
現在の私「そうか! このままだと、一カ月前に私が死んだことになって、現在の私の存在もなくなる――って、そんなの。この精神世界では関係ないだろ!」
一カ月前「いやいや、精神世界だからって何でも通用すると思うなよ。頭って言うのは、理屈をこねくり回して考えるところさ。あまりにも大きな矛盾は脳、ひいては精神世界が受付けないってことよ」
アイツの顔が笑顔になるにつれて、私の顔が引きつる。
現在「え、うわ! どうしよう! 私、sinjaunnoooooo――――――
――――――
っていう夢を見ました。
あと、初連載(全5話しかないものをこう呼んでいいのか)を始めました。喧嘩ばかりしている幼馴染カップルのキャンパスライフラブコメディです。
ライブ感覚、行き当たりばったりでやっています。題名変えるかも。
まだ2話しか書けていないので、今から急いで3話目書きます。
てゆーか、このノート、小説本編より長くね?