過日、通算298回をもちまして、「赤ん坊の起死回生」を完結させていただきました。
長らくご愛読いただきました読者の方には、厚くお礼申し上げます。
また、完結後に新しくお読みいただいている方もかなりいらっしゃるようです。
最後まで楽しんでいただければ幸いです。
せっかくですのでこの機会に、言わずもがなのことを、いくつか。
この長い物語を書き始めるに当たって、何点か決めていたことがありました。
そのうちで最も大きなものを挙げておきますと、
① 主人公が赤ん坊でいる間に話を終える
② 終始、主人公の一人称で記述する
という二点でした。
①については、もしかすると異論もあるかもしれませんが。
母子保健法では、生後1歳未満までを「乳児」と呼ぶそうですが。
それでも世間での定義の曖昧さを都合よく解釈してここでは、満2歳未満まで、と勝手に決めさせてもらいました。
ここまでなら何とか「タイトル詐欺だ」と罵倒されることも少ないのではないかと。
②については、ラノベ世界で「別視点の章」がもてはやされる、そういう書き方をした名作がたくさんあることは重々承知ながら。
本作では、読者に終始主人公と寄り添っていてもらいたい気が強くあったもので。
何となく、別視点に逸れたら作者として負け、というような気があったもので。
意固地に貫かさせてもらいました。
なお終盤近くに微妙な一話がありますが、あれはあくまで「報告書を読んでいる」ということで、温かい解釈をお願いします。
この結果、原稿用紙にして3000枚を超える長編を赤ん坊の一人称で書き通す、という拘りを通させてもらいました。
浅学な作者としては、あまり前例の思い当たらない作品になったと思います。
完結してから数日で、思いがけないほど読者の方が増えているようで、何ともありがたく思っています。
このまま皆様に「赤ん坊」が愛され続けることができましたら、これに勝る喜びはありません。