呪文も発動句も不要で現象をイメージする世界です。例えば火を出したい場合には「火よ点け」と念じるでしょう。そこで魔法名は「点火する(ignire)」の命令法能相現在の二人称複数形【イグニーテ(Ignite)】としました。但し語感と文字数を揃えるために所相や単数形も併用。そこはラテン語「風」ですので、ご容赦を。
操作魔法名は四魔術共通であることが多いです。操火も操水も操砂も操風も「動け(movete)」。長くなるので「火よ動け(Ignis,movete)」ではなく「モウェーテ」だけ振ります。尚、英語の子孫を想像できるよう発音も少し変えています(例えば【治癒(治れ、Curate)】はキュアの語源なのでクラーテではなくキュラーテ)。
璃花が嘆いているように、魔具術もまた錬金術のように便利なものにはしませんでした。魔術を定着させるだけで、一旦起動したら燃料である魔石が切れるまで連続使用が原則です。魔力枯渇後は、魔法陣に問題が無ければ杖使いと魔具士による再起動が必要になります(杖使いは切れる前の魔石に魔力を追加できます)。
これは「魔法武器」が普及し難い世界設定とするためです。例えば「火矢筒」は火の杖使いと魔具士が揃わないと起動できませんし、起動すれば【火矢】が出ますが、それで魔力が途切れるので単発です。杖使いが【火矢】を撃つよりも魔力が少なくて済むのと、反動が無いので扱い易いという利点があります。
第一段階魔術から作れる「種火」「水筒」等もごく弱い火を灯し続けたり、水漏れを続けたりするのが基本となります。杖使いは自分が使えない属性の魔法の魔具にも魔力を追加できるので、そこに利用価値が生じます。魔法陣は劣化するので魔具士によるメンテナンスが必要です。