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エアコンガスの話

 わたくし、本業は自動車関係の仕事をしておりまして、これからのシーズン増えてくるのがエアコンに関するトラブルでございます。
 新型コロナウイルスの流行も収束に向かいつつあり、これまで自粛自粛でステイホームしていた皆さんも、海へ、山へ、川へと出掛けたくなっていらっしゃるでしょう。

 炎天下、熱せられたアスファルト、渋滞……そんな状況で、エアコンが冷えなくなったら、もう地獄ですよねぇ。
 彼女との初めてのドライブデートだったりしたら、マジ泣きたくなるでしょうね。

 カーエアコンのトラブルの原因のトップは、冷媒ガスの不足です。
 エアコンは、冷媒ガスが気化する時に周囲の熱を奪う性質を利用して空気を冷やしています。

 この冷媒ガスには圧力が掛かっているので、途中の継ぎ目などから洩れる場合があり、冷媒ガスが減ってしまうと、エアコンの冷えが悪くなってしまいます。
 夏に車を使って出掛ける予定がある方は、今のうちに点検しておいた方が良いですよ。

 で、このエアコンのガスなんですが、新しい種類のものが使われ始めています。
 ちょっと昔の話をしますと、最初に使われていたエアコンガスはR12と呼ばれているものでした。

 このR12、いわゆるフロンガスというやつでして、大気中に放出されますとオゾン層を破壊する原因となります。
 オゾン層が無くなったら、有害な紫外線が降り注いでヤバいじゃないか、禁止しろ!

 ってことで、R12は使用が禁止され、代わって登場したのが134a、代替フロンと呼ばれているエアコンガスです。
 こいつは大気中に放出されてもオゾン層には影響を与えません。

 良かった、良かった、これからは134a、君が主役だよ。
 となって、全世界の車に使われるようになったのですが、またまた問題が発生。

 134a、お前、地球を温暖化させるのか! グレタちゃんに怒られちゃうだろう!
 オゾン層は破壊しないけど、二酸化炭素の1340倍も温暖化させてしまうことが分かって、新しいエアコンガスの開発が進められました。

 そして登場したのが、1234yfという新しいエアコンガスで、オゾン層も破壊しないし、二酸化炭素よりも温暖化させない優れものです。
 既に新型カローラ、新型タント、新型N-WGNなどの車種で採用され、使われ始めているのですが……高い!

 新しいガスだから、生産コストが掛かるのは分かるけど……それでも高い!
 現在、1缶200グラムの134aの値段は400円程度ですが、1234yfだと1缶1万5000円程度します。

 軽自動車だと2本(3万円)、普通乗用車なら3~4本(4万5千円~6万円)程度は使用しますので、一台当たりだと更に価格差が広がります。
 車が新しいうちはメーカー保証もありますし、事故の際にも車両保険に加入していれば問題はありませんが、自費で払うにはちょっと洒落にならない金額差ですよね。

 まぁ、多くの車種に採用されて生産コストが下がれば価格も下がるのでしょうが、新車を買う人、買った人、事故に備えて車両保険に入っていた方が良いかもしれませんよ。

1件のコメント

  • 意外と言っては失礼かもしれませんが、本業について聞いて正直驚きました。そしてタイトルに納得しました。1番目と2番目は名前はともかく性質は把握していたのですが、3番目は知らなかったです。最新型の宿命のテンプレからは逃れられなかった、という事も。いろいろと勉強になりました。
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