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新作(旧作??)おためし版。

皆様こんばんは!

5月は学校関係等忙しすぎて目が回りそうです……。
部活で足を痛めた息子を週二回車で40分ほど離れた病院に行っているので余計にわけがわからん(笑)それでも子どもってやる気があれば怪我しててもキラキラと頑張れるんだから凄いですよね! オバチャンは体がしんどいです―(笑)

さて、亀の歩みではありますが、以前お話していた東雲の本当の(笑)処女作であるSF冒険物を書こうと思っているのですが、原稿のクライマックス部分が紛失しており、そこからは思い出しながら新しく書く予定です。最後まで書ききれたら記念に角川つばさ文庫賞に応募してみようかな―なんて。

ただ、まだまだ児童書向けには文章が硬いかな??
私あんまり児童文学には馴染みがなくてよく解らないのです。

八割高校時に書いた文章のまま、残り二割は少し手直ししながら書いていこうかなと思っております。

はじめの部分をここにおためし版で載せますので、「この続き気になる!」とか「子ども向けにはもうちょっと優しくした方がいいんじゃない?」とか「文体変えずに書いたほうがいい」とかお暇な方は意見をくれると有り難いです。

それを参考に書いていこうかなと(*´ω`*)
お暇な方はお付き合いください。

では! ⇊

◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇


 《Breath of the earth(仮)》




 永い時代の中で忘れてしまったものがある。 
 でもヒトは、それか何なのか思い出そうともしなかった。

 でもソレは必死に祈り続けた。

 ――思イ出シテ……私ハ、ココニイルヨ――




 西暦二千百年。世界中を巻き込んだ第三次世界大戦。

 世界のあちこちで核兵器が使用され、多くの人や動物が死に、地球は草一本、生物一匹住めない〝死の大地〟が広がっていった。

 その大戦から二十二年、生き残った人々は少ない生活可能地域に移住し、異常なまでの回復力を見せて復興していった。
 ――ネオジャパン。この国も大戦から立ち直った国の一つである。
しかし、先の大戦で多くの日本人は死に、過去のこの国の面影を残すのは国の名前位になっている。

「おーい! シンディ!!」

 季節は春。
人工造花の桜の花が、駆けてくる少年の頭の上に規則的に降りそそいでいる。
「……ヒスイ、その呼び方やめろっつったろ。シンって呼べよ」
 シンディと呼ばれた金髪碧眼の青年は、嫌そうな顔をしながら年下の従兄弟のヒスイとシベリアンハスキーのカイに挨拶した。
「なんで、いいじゃん。シンディはシンディでしょ」
名前で中身は変わらないよ、ねえカイ? と相棒に同意を求めるとカイはワン! と元気よく答えた。屈託なく笑うヒスイに苦虫を噛み潰したような顔をする。
この年上の従兄は自分に付けられた女の子みたいな名前を嫌っているのだ。
「あれ? リサは?」
 黒髪と青緑色の瞳の少年――ヒスイはカイにじゃれながらシンディを仰ぎ見た。
「入学式だから格好気張るんだってさ。大して変わんねぇのに」
「ぼやかない、ぼやかない。嬉しいくせに」
 照れ隠しに愚痴を言うシンディをヒスイはいつものように冷やかした。
そして、これから毎日通うことになる坂を登る。その先にはネオジャパンの中でも五本の指に入るハイスクール、『トーキョーインターナショナルハイスクール』がそびえ立っている。ヒスイは努力の末、この名門校の門をくぐる権利を手に入れたのだった。その難関を乗り越えたのだから喜びもひとしおなのは当然である。それを示すかのようにヒスイの顔は先程から緩みっぱなしだ。だが――
「……お前、何浮かれてるんだ?」
 シンディはいつもと違う黒髪の従兄弟を怪訝そうに見つめる。いくら嬉しいとは言え、ヒスイは普段こんなに落ち着きのない少年ではない。彼の浮かれようは、長年彼と付き合っているシンディにしてみればおかしな事だった。
「ふふっ」
 困惑するシンディに、ヒスイはいたずらっぽい笑顔を向けて言った。
「秘密だよ。リサが揃うまではね」




 学年の違うシンディと廊下で分かれ、簡単な手続きの後、ヒスイは自分のクラスに向かった。
日本という日本人だけの国が崩壊し、生粋の日本人を見つけることの方が難しくなった今、学校内は国際色豊かな生徒たちでごった返している。
その中で、良く見知った褐色の肌の女の子が教室に入ってくるのに気がついてヒスイは声をかけた。
「リサ! どうしたの、早かったね!」
 声をかけられて、ヒスイとシンディの幼馴染のリサは黒い大きな目を恥ずかしそうに細めて言った。
「ホントはもっと付けてきたかったんだけど、シンに文句を言われそうだったから」
 そう言ってぺろっと舌を出す。
なるほど、リサの髪の毛には色とりどりのビーズがぶら下がっていて、褐色の肌に映えて可愛いな、とヒスイは微笑んだ。
そんなヒスイを見てリサが訊ねる。
「なぁに?」
 キョトンと首を傾げるリサを見て、ヒスイは正直に思ったことを口にした。
「いいや、リサは可愛いなぁと思って」
 リサはまたおだててっ! と怒ってみせたけれど、顔は全然怒っていなかった。
「そうだリサ。今日帰りに家によりなよ。見せたいものがあるんだ」
 もったいぶったヒスイの言い方に、何を? とリサは目で尋ねたけれど、ヒスイは「まだ秘密だよ」と教えてはくれなかった。
でも次の、「もちろんシンも一緒だよ」と言う言葉で、リサは大きく頷いた。

 その日の午後、シンディとリサはヒスイの部屋に来ていた。学校から帰る途中、どれだけ聞いても何も教えてくれないヒスイに、シンディは今日何度目かの質問をした。
「だから何なんだ?」
 すると、待ってました! と言わんばかりに、今まで口をつぐんでいたヒスイが口を開いた。
「実はこの間、父さんの遺品を整理してたらさ、コレを見つけたんだ!」
 そう言って手の平の上に一枚の小さな立体画像チップを取り出して二人に見せた。
「メッセージチップ? それがどうかしたのか?」
 ヒスイの言いたいことがわからずシンディが聞き返す。
「まぁ見ててよ」
 ヒスイはそう言うとチップを起動した。

 独特の起動音とともに何もなかった空間に次第に人影が浮かび上がる。
そして三秒もしない間にそれはヒスイの父、マサト ヤマグチになった。
「叔父さん……」
 シンディは若くして亡くなった叔父の姿を久しぶりに見て、知らぬ間に声を発していた。
ヒスイの父、マサト ヤマグチは、国際連合内の各国から集まった十二人の研究員で構成される兵器開発研究所、〝世界科学技術研究所〟 通称〝WSTL〟の研究員の一人だった。

 しかし数年前に病に倒れ、幼いヒスイだけを残して二年前にこの世を去った。母親も過去に亡くしていたヒスイは十三歳にして家族を失ってしまったのだ。
父を看取り静かに泣くヒスイの手を取って、今日からここがお前の家だからな! と必死に慰めたことはまだ記憶に新しい。
……そんな事をつらつらと思い出しているうちに、二年前に聞いた懐かしい声で、マサト ヤマグチが喋りだした。

『親愛なる僕の息子、ヒスイ。これを観ているって事は、僕はもうこの世にいないのだろうね。君だけを残していって本当にすまないと思っている。でも、君にはシンやリサがイルから大丈夫だと信じているよ』

 二人も大好きだったヒスイの父の言葉を聞いて、シンディやリサは熱いものがこみ上げてくるのを感じた。

『ヒスイ、君に僕は何もしてやれなかった。父親失格だと思うよ。だから、お詫びと言ってはなんだが、君にあるものをプレゼントしようと思う。
このチップに残すキーワードと、君にあげたシードストーンを使って、そのある物を見つけてくれ。君なら、いや、君たちなら。きっと見つけてくれると信じている。
 ――君たちの未来が、素晴らしく輝くことを祈っているよ』

 メッセージが終わると、マサト ヤマグチの姿は霧のように消えてただの空間に還っていった。

 ヒスイは映像に見入っていた二人に首にかかっている淡く緑に光る石を掲げ、石と同じくらい目を輝かせて言った。

「探そうよ! 父さんの残した遺産を、俺達でさ!」

 霞がかったネオジャパンの空には、今も規則正しく人工造花の桜の花が舞っている。作られた明るい日差しの中で三人の冒険が今、始まろうとしていた。




【キーワード】

 スベテノモノガモチアワセ ケレド多クノ者ガ忘却ノ彼方二オイヤッテシマッタモノ 哀シミノ石二心ヲフキコムニハ 熱キ心ノ水ガ セイルイ石ガナケレバナラナイ 

 ソレハ 心ト全テノ始マリノ大地二輝ク
 

19件のコメント

  • わー!SFですね。高校生で書いたなんて、凄いです。
    続きを読みたいです!
    私も児童文学は詳しくないのですが、高学年向き?かもしれませんね。

    娘様のご意見はいかがでしょう?
  • 春渡様

    よくよく考えるとSFと言うより近未来ファンタジー?? スペース部分がない気がする(笑)

    実は娘はまだ未読です。

    内容的にはアルカナよりはわかりやすい……かな?
  • テンポがよく、これが高校時代に書いたものだとはとても考えられないほど。
    私はすらすらと読めましたが、角川文庫は小・中学生対象なので、もう少し柔らかくしてもいいかな、と思いました。
    でも、私的にはこのままの形でも読んでみたいです。

    わがままでスミマセン……。
  • ほしレモン様

    現役中学生の貴重な意見有難うございます!

    初めて書いた小説なので、今読み返すと「ん?」と思う部分はあります(笑)設定とかが(笑)

    つばさ文庫を読むと対象年齢が小学校高学年〜中学生となっている為、内容はどちらかと言うと小学生寄りに作ってある気がします。

    私がリアル中学生の時点で、もうつばさ文庫の内容は卒業していたんだよなあ〜😅

    とりあえず一度元の文体でラストまで仕上げてみようとは思ってます。

    主役のヒスイくんに、相棒のシベリアンハスキーのカイがいる所がちょっとアルカナを彷彿とさせるでしょ(笑)
  • え、これ高校生のときに書いた作品ですか?
    とても整った文章で素晴らしいと思います!
    内容もとても分かりやすく、すらすらと読めました(*^^*)

    ほしレモンは『もう少し柔らかくした方がいい』って言ってるけど、別にこのままでも十分いいと思います!
    最後まで書いてみて直すのもありですね。

    娘さんの意見も聞いてみて参考程度に書いていけばいいと思います。
    続き読んでみたいですね。
  • つきレモン様

    これも高校の夏休みの宿題に書いたやつです(笑)
    『春風の吹く頃に』の前年に書いたものです。
    多分高2。ちゃんとした小説という体をしたもので初めてラストまで書き上げた最初の作品です。

    と言うか、この高校時代の作品達の次がアルカーナなんですが(笑)

    もしかすると作品数ではほしレモンさんやつきレモンさんより少ないかもしれません😅
  • うわ~、遺産を巡る冒険、面白そうです。
    キャラがしっかりと個性を持っているのでよみやすかったです🎵
  • ポンポコ様

    メインキャラが3人+動物のノリはこの頃から変わっていないのかもしれません(笑)

    苦手なSFを楽しい物語で書きたい!とチャレンジした作品です。

    皆さんに面白そうと言ってもらえたら頑張れる気がしてきた……!(笑)
  • おもしろそう…(゚A゚;)ゴクリ

    おとーさんが残したキーワード、解くの楽しそうだなぁ。
    早く見たい…|ω・`)ハヨミタインヤ ボケェ
  • SANAちゃま

    落ち着いて下さいませ(笑)
  • 東雲先生
    えーと、恐れ多くも僭越ながら先生に簡単なレポート(ご報告)を。
    まず予想以上に素晴らしいです。本当に驚きました。アルカナよりさらに好みかも(スミマセン) 先生持ち前のキャラ設定がしっかりしていますし、それに加えて背景設定が焼酎学生、コホン小中学生にちょうどぴったりで壮大な感じになっています。そしてメッセージチップから始まる本題。何が起きるんだろうと期待に胸が高まります。
    これでぜひ整備しつばさ公募おねがいします。
    全力で応援させていただきます。
    イエーイ!! 嬉しい!!
  • 三杉様

    アルカナよりもお好みとの事。ある意味嬉しいです!ファンタジーしかかけないのも残念なので😅

    焼酎学生も対象になりますか!(笑)小中学生向けにしたつもりが(笑)

    データがなくなっちゃってるラストをあとはどうするかですねえ🤔
  • 私も読みに来ました。児童文学はSFも好きです!

    下で色々書いてますが、ぜひ公募向けに書いてほしい…!

    素人ながら、感じたことを羅列します。

    ・「西暦二千百年」から「シンディを呼ぶところ」までの文章がプロット的だと感じたので、台詞や文章で読者がわかるようにした方がいいのでは。(多分、今の東雲さまでしたら、改稿する予定かもしれません)

    ・高校生の設定を中学生まで年齢を下げた方がいいのでは。私ならそうするかな。(つばさ文庫の受賞作や応募作品を見に行くと、小学校5年から中学校2年の間の作品が多いから)
    高校生にするなら、試しに公募に出して、ダメだった場合は他のSFの公募にも出すのもありかも。

    ・第一話で「3人で父親の遺産を探す」話だとわかったんですが、どんな遺産なのか、それを知ればどんなメリットがあるのか、そこまで知りたかったです。

    ・個人的には、恋愛要素がほしいですが(くっつかなくても匂わせる程度でもOK)、そんな要素は入れる予定でしょうか。
  • 恋愛要素は「鋼の錬金術師」主人公とヒロイン程度の、この子とこの子が、お互い好き何だろうなと分かる程度です……!
  • 八木様

    わあ〜😭参考になる意見を有難うございます!

    詳しいお返事はディスコードに書きますね!
  • タンティママンでぇ〜っす!!
    (((o(*゚▽゚*)o)))

    まず、小中学向けで、ポスト第三次世界大戦の世界設定は、受け入れてもらえるのかどうかかしら?

    むしろ、地球温暖化の海面上昇と小隕石の地球落下で地球環境が激変、国家と言う枠組みが無くなりいくつかの連邦制になったとかは?

    SFは、サイエンスフィクションの略だから、今の科学技術の行末に起きる人間ドラマ
    宇宙設定はその一部に過ぎないから、SFで大丈夫よぉ。

    この先に待つ謎解きの冒険に子供達が胸躍らせる内容期待してるわね
  • ママン様

    コメント有難うございます‼️‼️

    そうなんですよねぇ……そもそも小中学生向けではなかったお話なので(笑)とりあえず今は過去に書いてあった原稿を書き起こしている最中でございます!(゚∀゚)

    >むしろ、地球温暖化の海面上昇と小隕石の地球落下で地球環境が激変、国家と言う枠組みが無くなりいくつかの連邦制になったとかは?

    なるほどー!

    そして自分のSF知識の底の浅さにびっくりしてますー(笑)
  • ナゼ、日本が中心の連邦が出来たか
    とりあえず隕石二、三個中国に落としておきましょうか
    (*´∇`*)

    大隕石落下は阻止出来たが破壊後の小隕石が各地に落下
    中国は崩壊
    日本は日本海にある、メタンハイドレートでエネルギー問題は解消された近未来
  • ママン様

    む、むづかしい〜!(笑)
    ふわっとSF小説には難しい〜😂😂
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