皆様こんばんは!
5月は学校関係等忙しすぎて目が回りそうです……。
部活で足を痛めた息子を週二回車で40分ほど離れた病院に行っているので余計にわけがわからん(笑)それでも子どもってやる気があれば怪我しててもキラキラと頑張れるんだから凄いですよね! オバチャンは体がしんどいです―(笑)
さて、亀の歩みではありますが、以前お話していた東雲の本当の(笑)処女作であるSF冒険物を書こうと思っているのですが、原稿のクライマックス部分が紛失しており、そこからは思い出しながら新しく書く予定です。最後まで書ききれたら記念に角川つばさ文庫賞に応募してみようかな―なんて。
ただ、まだまだ児童書向けには文章が硬いかな??
私あんまり児童文学には馴染みがなくてよく解らないのです。
八割高校時に書いた文章のまま、残り二割は少し手直ししながら書いていこうかなと思っております。
はじめの部分をここにおためし版で載せますので、「この続き気になる!」とか「子ども向けにはもうちょっと優しくした方がいいんじゃない?」とか「文体変えずに書いたほうがいい」とかお暇な方は意見をくれると有り難いです。
それを参考に書いていこうかなと(*´ω`*)
お暇な方はお付き合いください。
では! ⇊
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《Breath of the earth(仮)》
永い時代の中で忘れてしまったものがある。
でもヒトは、それか何なのか思い出そうともしなかった。
でもソレは必死に祈り続けた。
――思イ出シテ……私ハ、ココニイルヨ――
西暦二千百年。世界中を巻き込んだ第三次世界大戦。
世界のあちこちで核兵器が使用され、多くの人や動物が死に、地球は草一本、生物一匹住めない〝死の大地〟が広がっていった。
その大戦から二十二年、生き残った人々は少ない生活可能地域に移住し、異常なまでの回復力を見せて復興していった。
――ネオジャパン。この国も大戦から立ち直った国の一つである。
しかし、先の大戦で多くの日本人は死に、過去のこの国の面影を残すのは国の名前位になっている。
「おーい! シンディ!!」
季節は春。
人工造花の桜の花が、駆けてくる少年の頭の上に規則的に降りそそいでいる。
「……ヒスイ、その呼び方やめろっつったろ。シンって呼べよ」
シンディと呼ばれた金髪碧眼の青年は、嫌そうな顔をしながら年下の従兄弟のヒスイとシベリアンハスキーのカイに挨拶した。
「なんで、いいじゃん。シンディはシンディでしょ」
名前で中身は変わらないよ、ねえカイ? と相棒に同意を求めるとカイはワン! と元気よく答えた。屈託なく笑うヒスイに苦虫を噛み潰したような顔をする。
この年上の従兄は自分に付けられた女の子みたいな名前を嫌っているのだ。
「あれ? リサは?」
黒髪と青緑色の瞳の少年――ヒスイはカイにじゃれながらシンディを仰ぎ見た。
「入学式だから格好気張るんだってさ。大して変わんねぇのに」
「ぼやかない、ぼやかない。嬉しいくせに」
照れ隠しに愚痴を言うシンディをヒスイはいつものように冷やかした。
そして、これから毎日通うことになる坂を登る。その先にはネオジャパンの中でも五本の指に入るハイスクール、『トーキョーインターナショナルハイスクール』がそびえ立っている。ヒスイは努力の末、この名門校の門をくぐる権利を手に入れたのだった。その難関を乗り越えたのだから喜びもひとしおなのは当然である。それを示すかのようにヒスイの顔は先程から緩みっぱなしだ。だが――
「……お前、何浮かれてるんだ?」
シンディはいつもと違う黒髪の従兄弟を怪訝そうに見つめる。いくら嬉しいとは言え、ヒスイは普段こんなに落ち着きのない少年ではない。彼の浮かれようは、長年彼と付き合っているシンディにしてみればおかしな事だった。
「ふふっ」
困惑するシンディに、ヒスイはいたずらっぽい笑顔を向けて言った。
「秘密だよ。リサが揃うまではね」
学年の違うシンディと廊下で分かれ、簡単な手続きの後、ヒスイは自分のクラスに向かった。
日本という日本人だけの国が崩壊し、生粋の日本人を見つけることの方が難しくなった今、学校内は国際色豊かな生徒たちでごった返している。
その中で、良く見知った褐色の肌の女の子が教室に入ってくるのに気がついてヒスイは声をかけた。
「リサ! どうしたの、早かったね!」
声をかけられて、ヒスイとシンディの幼馴染のリサは黒い大きな目を恥ずかしそうに細めて言った。
「ホントはもっと付けてきたかったんだけど、シンに文句を言われそうだったから」
そう言ってぺろっと舌を出す。
なるほど、リサの髪の毛には色とりどりのビーズがぶら下がっていて、褐色の肌に映えて可愛いな、とヒスイは微笑んだ。
そんなヒスイを見てリサが訊ねる。
「なぁに?」
キョトンと首を傾げるリサを見て、ヒスイは正直に思ったことを口にした。
「いいや、リサは可愛いなぁと思って」
リサはまたおだててっ! と怒ってみせたけれど、顔は全然怒っていなかった。
「そうだリサ。今日帰りに家によりなよ。見せたいものがあるんだ」
もったいぶったヒスイの言い方に、何を? とリサは目で尋ねたけれど、ヒスイは「まだ秘密だよ」と教えてはくれなかった。
でも次の、「もちろんシンも一緒だよ」と言う言葉で、リサは大きく頷いた。
その日の午後、シンディとリサはヒスイの部屋に来ていた。学校から帰る途中、どれだけ聞いても何も教えてくれないヒスイに、シンディは今日何度目かの質問をした。
「だから何なんだ?」
すると、待ってました! と言わんばかりに、今まで口をつぐんでいたヒスイが口を開いた。
「実はこの間、父さんの遺品を整理してたらさ、コレを見つけたんだ!」
そう言って手の平の上に一枚の小さな立体画像チップを取り出して二人に見せた。
「メッセージチップ? それがどうかしたのか?」
ヒスイの言いたいことがわからずシンディが聞き返す。
「まぁ見ててよ」
ヒスイはそう言うとチップを起動した。
独特の起動音とともに何もなかった空間に次第に人影が浮かび上がる。
そして三秒もしない間にそれはヒスイの父、マサト ヤマグチになった。
「叔父さん……」
シンディは若くして亡くなった叔父の姿を久しぶりに見て、知らぬ間に声を発していた。
ヒスイの父、マサト ヤマグチは、国際連合内の各国から集まった十二人の研究員で構成される兵器開発研究所、〝世界科学技術研究所〟 通称〝WSTL〟の研究員の一人だった。
しかし数年前に病に倒れ、幼いヒスイだけを残して二年前にこの世を去った。母親も過去に亡くしていたヒスイは十三歳にして家族を失ってしまったのだ。
父を看取り静かに泣くヒスイの手を取って、今日からここがお前の家だからな! と必死に慰めたことはまだ記憶に新しい。
……そんな事をつらつらと思い出しているうちに、二年前に聞いた懐かしい声で、マサト ヤマグチが喋りだした。
『親愛なる僕の息子、ヒスイ。これを観ているって事は、僕はもうこの世にいないのだろうね。君だけを残していって本当にすまないと思っている。でも、君にはシンやリサがイルから大丈夫だと信じているよ』
二人も大好きだったヒスイの父の言葉を聞いて、シンディやリサは熱いものがこみ上げてくるのを感じた。
『ヒスイ、君に僕は何もしてやれなかった。父親失格だと思うよ。だから、お詫びと言ってはなんだが、君にあるものをプレゼントしようと思う。
このチップに残すキーワードと、君にあげたシードストーンを使って、そのある物を見つけてくれ。君なら、いや、君たちなら。きっと見つけてくれると信じている。
――君たちの未来が、素晴らしく輝くことを祈っているよ』
メッセージが終わると、マサト ヤマグチの姿は霧のように消えてただの空間に還っていった。
ヒスイは映像に見入っていた二人に首にかかっている淡く緑に光る石を掲げ、石と同じくらい目を輝かせて言った。
「探そうよ! 父さんの残した遺産を、俺達でさ!」
霞がかったネオジャパンの空には、今も規則正しく人工造花の桜の花が舞っている。作られた明るい日差しの中で三人の冒険が今、始まろうとしていた。
【キーワード】
スベテノモノガモチアワセ ケレド多クノ者ガ忘却ノ彼方二オイヤッテシマッタモノ 哀シミノ石二心ヲフキコムニハ 熱キ心ノ水ガ セイルイ石ガナケレバナラナイ
ソレハ 心ト全テノ始マリノ大地二輝ク