エルザ・マルポの「念入りに殺された男」を読んだ。
有名作家に襲われ、その相手を弾みで殺してしまった女性が隠蔽のため逃走し、作家になり切る過程がスリリングに描かれている。
最愛の家族から離れて都会で一人、SNSを駆使しながら男性作家になりすますことで、女性の秘められていた二面性が露わになり、新たな自分に目覚めていく。
その人らしさとは何なのか?特に女性たちにとって、虐げられている意識は無いのかもしれないが、多くの人は無意識に檻に閉じこもっていることを示唆しているようだ。
悲劇から始まり、女性が追い詰められていく過程が描かれているのだが、ラストには妙な開放感が得られる。