はいということでほぼsh1noの相方だとバレました神崎です。
昨日の放送事故の後ヤケクソで寝た俺、朝に目を覚ましたらあらびっくり。
スマホからは止まらない通知音、覗いてみたらトレンド一位には「sh1noの相方、判明!?」という文字、メッセージ欄を覗いてみたらsh1noとの関係や本当にsh1noの相方なのかを聞いてくる質問で溢れ返っているではありませんか。
「はあ……どうしよ」
布団に沈み込みながら、ため息が漏れる。どうするか考えなきゃいけないのは分かってる。分かってるけど──。
「よし。とりあえずもっかい寝るか」
人間、逃げ道があったらそこに飛び込みたくなるよね。
というわけで選ぶのは現実逃避。再び枕に頭を沈め、身を布団の中に隠しおやすみなさい。
◇ ◇ ◇
次に目を覚ました時、俺の目の前に映るのは笑えないほど進んでいた時刻を表す時計。
……すぅぅぅぅぅぅ
「やっべぇぇぇぇぇぇぇ!!!!寝過ぎたぁぁぁぁ!!!」
ここまでがお約束☆ なんて言っている余裕など俺には無く。
「うおおおおおおおお間に合ええええええええ!!!」
などと叫びながら三分で支度を終わらせ、昨日ぶち破った壁から最寄駅まで猛ダッシュ。途中で交差点から駆け込んできたパンを咥えた女子高生を跳ね飛ばしながらなんとか乗車に成功。
「ふう……間に合ったぜ」
だがその先に待っていたのも地獄。講義が終わり、食堂へ向かうと、あちこちから昨日の放送事故で更に加速した俺の話題で溢れている。しかも昨日とは違い人気のない席が一切見当たらない。
こんな状況でまともに飯が食えるわけがない。仕方ないが今日はどっかの店で昼飯を食べることにしよう。食堂の飯、安くて美味いから気に入ってたんだが。
と、考えていたら突然後ろから肩に手を置かれる。
「やあ、噂の相方さん」
振り向けば、そこに立っていたのは見慣れた顔。
「チッよりによって今一番会いたくない奴とエンカウントするとは……!」
こいつの名は志船零。俺の中学時代からの友人であり、あのゲームグループの一人だ。
しかもムカつくことに驚くほどのイケメンでありながら運動も勉強もできる上にゲームまで上手い天才野郎。唯一の欠点は性格とプレイスタイルが終わっていることだろうか。
そんなやべぇ奴がなぜわざわざ俺のところへやって来たのかは十割方予想がつく。だがそんなことより聞かなければならないことが一点。
「いや待て、お前なんで知ってる!?」
「なんでって……自分でよく思い出してみなよ」
さっきまでニヤニヤしていた表情が一変、一気に呆れたような目で見られてしまう。
あれ。俺そんなバレるようなこと言ったっけ? 全く心当たりがないぞ。
そんな俺の考えを察したのか、零は諦めたような目で話を続ける。
「グループでの復帰宣言、その後のsh1noのツイート……そして例の配信の切り抜きを覗いてみたら聞き慣れた声。逆にどこにバレない要素があると?」
「………………」
ぐうの音も出ねえ。そしてバレる要素しかねえ。そりゃこんな目で見られるわと顔を天に向けた俺を零は肩を軽く叩きながら再びため息をついた。
「まあ、ここで話続けるのもアレだし、外で飯でも食べようか。ほら、行くよ」
「えっちょ、待っ力強ぉ!?」
そう言うなり、零は有無を言わせぬ力で俺の腕を引っ張り、そのまま食堂を後にする羽目になった。……さてはこいつ、逃げれないタイプのボスだな?
その後も抵抗虚しく、連れて来られたのは大学近くの飲食店。逃走を諦めた俺の後に注文を終えた零は口に水を運びながら、こちらに視線を向ける。
「さて、色々煽りた……言いたいことはあるけど、まずはなんでそうなったか聞かせてもらおうかな?」
「おいこら本心隠せてないぞ」
「大丈夫。いつものことだから」
それはそれで人として大丈夫なのか? 心の中でと思いつつこの二日間で何が起きたのかを煽りを受けながら愚痴愚痴しかじか。
「なるほど話は大体分かったけど……君は結局この話題をどうしたいの?」
「この話題を一刻も早く収束させたい。というわけでお前なんか案を出せ」
これから毎日学校で自分の噂を聞くことになるなんてたまったもんじゃない。それにこいつの頭なら少なくとも俺よりかはいい案が──
「とりあえずsh1noを配信に呼び出せば?」
「なんでぇ……?」
君話聞いてた? 俺話題を収束させたいんだよ? sh1noなんか呼び出せば余計話題広がるじゃん。え、なにもしかして俺が悶え苦しむところを見るのが趣味だったりする? そういう趣味だったね君。
「待って待ってちゃんと理由あるから最後まで話聞いて」
なんだまだ話あったのか。某猫のミームみたいな顔になって損した。てか全く隠せてないような気がするけどまあいいか。そんなことを気にするより一旦話を聞こう。
「まず君の噂ね。正直もう収束不可能だから一旦受け入れようか。大丈夫大丈夫一週間もすれば慣れる慣れる」
信じた俺がバカだった。このクソ野郎にこれ以上時間を無駄にされる前にとっととカバンとか持って帰──あの、零さん。その手に持ってるカバン俺のなんですけど。
「これの中身全部を破壊されたく無ければ最後まで話を聞いて「分かった!聞くから!!早まらないで!!!」分かればよし」
クッソ、まさか逃げる選択肢がない上に会話スキップしたら装備品全部ぶっ壊してくるタイプのクソボスだったとは……。
というかなんであのグループ話すと疲れる奴らしかいないんだ!?
内心ブチギレている俺の様子など知ったこっちゃないと、目の前のクズは話を淡々と続ける。
「それにね、折角注目されてるんだ。これを機に登録者とか増やしてドリーム掴めると思わないかい?」
ぐ……確かにおそらく俺の人生でこれ以上ないくらい話題にはなっている。ここで登録者や動画の再生数を増やせば金をたんまり稼げるチャンスではあるだろう。
「いやでもあんなのでも一応友人だしな。友達を動画のネタに使うのはちょっと気が引けるというか良心が痛むというか……」
「まだ人の心あったんだねぇ。なら君にとって一番のメリットを教えてあげよう」
えぇ……まだ続くんですか? もうお腹いっぱいなんですけど。たがここまで来たのだ。もう何を言われても響かないぞ。
「ここまで注目が集まっているということは、もし君がsh1noを連れて配信をしたら切り抜きに来る人がいるはずだ」
「そうなのか?」
「多分そうだよきっと知らんけど」
適当すぎるだろ。
だが事実今一番と言ってもいいほど話題になっている奴の配信、オマケに世界一位までついてきたとなれば絶好の切り抜き素材となるのは間違いないしその可能性は十二分にあるだろう。
「で……その切り抜き師が集まったらどうなるんだ?」
「察しが悪いね。想像してみなよ。そんな人たちが集まってるところで面白い死に方したらさ」
「よし。配信やるか」
良心のダム、僅か2秒で決壊。
というかよくよく考えたら俺の心にある奴に対する良心よりも圧倒的に恨みの方が多かったよ。零の策に乗るのは少し癪だがここら辺で一旦sh1noには笑い者になってもらおう、そしてその切り抜きで煽りまくってやろう。
そうと決まれば早速準備だ。レストランを飛び出し、電車で家に到着。零にカバンを奪われたままたがそれはまた明日返してもらうとしよう。今は奴を笑いものにする計画の方が先だ。
後書き
ぶっちゃけた話、改稿後とどっちの方が面白いと思います?
率直な意見をもらえるとありがたいどす