はじめまして。真田 経一(さなだ けいいち)です。
このたび、
『社長、信長になる。――冷淡なワンマン経営者、戦国一のホワイト組織を作る』
という小説の連載を始めました。
私は現在、5つの事業の会社を経営しています。
この作品には、私自身が会社経営の中で経験した失敗や反省、そして、そこから学んだことを取り入れています。
私は以前、人に仕事を任せることが、あまり得意ではありませんでした。
自分で確認したほうが早い。
自分で判断したほうが間違いが少ない。
大切な仕事ほど、自分が細かく管理しなければならない。
そう考え、さまざまな判断や仕事を自分のところへ集めていました。
部下へ仕事を任せたとしても、途中で何度も口を出し、最後には自分のやり方へ戻してしまうこともありました。
当時の私は、それが責任ある経営者の姿だと思っていました。
しかし、社長一人がすべてを判断する会社には限界があります。
社員は、自分で考えて動くよりも、社長の指示を待つようになります。
責任者を置いても、最終的な判断をすべて社長が行えば、その人は本当の意味で責任者にはなれません。
そして何より、社長自身が会社の成長を止める存在になってしまいます。
私も、そうした状況を何度も経験しました。
そこで少しずつ、考え方を変えるようになりました。
仕事を任せるだけではなく、その仕事を進めるために必要な判断や権限も渡す。
失敗を責めるのではなく、なぜ失敗したのかを一緒に考える。
自分と違うやり方であっても、結果につながるのであれば、まず見守る。
責任者の判断を尊重し、社長は何でも決める人ではなく、必要なときに支える人になる。
そうして人に任せるようになると、会社は以前よりもうまく回るようになりました。
社員が自分で考え、自分で判断し、責任を持って行動するようになりました。
私一人では思いつかなかった改善案も出るようになり、会社全体の力が少しずつ高まっていきました。
もちろん、任せればすべてがうまくいくわけではありません。
判断を誤ることもあります。
期待した結果にならないこともあります。
それでも、社長一人の能力で会社を動かすより、それぞれの人が力を発揮できる組織を作るほうが、長い目で見れば強い会社になると実感しています。
この経験を、織田信長の物語に置き換えたら面白いのではないか。
それが、この小説を書き始めたきっかけです。
主人公は、かつての私と同じように、自分で何でも決め、人を管理し、結果を求める社長です。
しかし、織田信長として戦国時代へ転生し、家臣たちと向き合う中で、少しずつ人を信じて任せることを学んでいきます。
仕事を渡すだけではなく、権限も渡す。
悪い報告をした人を罰しない。
自分と違う意見にも耳を傾ける。
失敗したときは、責任者だけへ責任を押しつけず、共に修正する。
そうした現代の組織づくりを戦国時代へ持ち込み、織田家を変えていく物語です。
登場する人物や出来事は、小説として創作・再構成しています。
ただし、主人公が抱える悩みや失敗、人に任せられなかった過去、そして任せることで組織が変わっていく過程には、私自身の経験が込められています。
歴史小説としてだけでなく、会社や組織の中で働く方にも楽しんでいただけたら嬉しく思います。
五十三歳で初めて小説を書き、真田経一という名前で公開しました。
これまでの経営経験を、これからは物語という形でも伝えていきたいと思っています。