「お待ちしておりました、魔王さま」
突然の少女の声に、宝来尊《ほうらいみこと》は閉じてた両目を見開いた。
目の前には、真っ黒なフリルのドレスを着た、小学生くらいの少女が立っている。
艶のある長い黒髪はツインテールにしていても地面に届かんばかりであり、自身の身長を超える程の漆黒の大鎌を右手で杖のように携えていた。
「えっ…と?」
あまりの現実離れした状況に、宝来尊は逆に冷静さを取り戻す。
「申し遅れました。わたくしシラネと申します」
「これはこれはご丁寧に、自分は宝来尊です」
「ミコトさま、それでは本日より、宜しくお願い致します」
そう言ってシラネは、片膝をついて深々と頭を下げた。
「えーと、ちょっと待ってね。もしかして俺は魔王になったのかな?」
「はい、勿論。その条件で了承頂けたと認識しておりますが…」
了承した覚えがないんだよなー…
宝来尊は小首を捻って両腕を組む。しかし迂闊な事も口走る事が出来ない。あの黒い大鎌は、本当に鋭そうだ。
「ちなみに魔王って、何するの?」
「その事も、条件として、事前に提示していたと思いますが?」
そのときシラネが、大鎌の柄でコツンと地面を突いて不思議そうな顔をする。
「え⁉︎ あー…世界征服だ。そーだったそーだった」
「はい、その通りです」
慌てた宝来尊の返答に、シラネは満足そうな笑顔を見せた。
「ですが、少し問題がありまして…魔王さまには、お詫び申し上げないといけません」
そんなシラネの表情に、みるみる陰落ちていく。それからツカツカと窓際まで歩くと、クルリとこちらに振り返った。
「ミコトさま、ここから外をご覧ください」
「あ、はい」
言われるがままに、宝来尊はシラネの横に立って外を覗く。
そこには、暗雲立ち込める、巨大な暗黒城が建っていた。
「最近向いに、巨大な『複合魔王城施設』が移転してきまして、この城の殆どの配下が引き抜かれてしまったのです」
「あーそーなんだー」
宝来尊は巨大な暗黒城を見上げながら、ただそれだけ呟いた。
てな事で、引き続き魔王さまにして欲しい事募集します。全部書ける訳じゃないけど、もう少しおひねり欲しいなー(^^)