ねこまんまときみどりのことり

｢もう我慢できない！　あんたなんて、出ておいき！」 「なんだい、なんだい。後から入ってきた女が、息巻いてみっともないよ。ちょっとは我慢も覚えな」 「出てけー！！！」 　あ…

｢君には失望したよ。ミレイ傷つけるなんて酷いことを！　婚約解消の通知は君の両親にさせて貰うから、もう会うこともないだろうな！」 言い捨てるような突然の婚約解消に、困惑しかないア…

　政略結婚の両親は、私が生まれてから離縁した。 　私の名は、マーシャ・フャルム・ククルス。 　ククルス公爵家の一人娘。 　父ククルス公爵は仕事人間で、殆ど家には帰って来ない。…

　婚約者の私マイナリーより、義妹が好きだと言う婚約者ハーディー。陰で私の悪口さえ言う彼には、もう幻滅だ。 　婚約者の生家、アルベローニ侯爵家は子爵位と男爵位も保有しているが、伯…

　愛人の子であるリンダは、先妻が亡くなったことで母親が後妻に入り侯爵令嬢となった。 　特に家族との確執もないが、幼い時に受けた心の傷はリンダの歩みを決めさせる。 「貴族なんて自…

　私は生家の侯爵家を追い出され、乗り合い馬車で隣国に行く途中である。 「ああ、良い天気。空が青いわ」 　ゴトゴトと揺れる馬車に、子供連れのご婦人はお尻が痛いと呟くが、子供は景…

　私は菊。源お父ちゃんの養女だ。お父ちゃんは同心で、浅賀清次郎さんに雇われて、岡っ引きをしている。いつも仕事終わりに夜回りと言って、呑んで帰ってくるから心配なの。 　南町奉行所の…

　魔力がないと決めつけられ、乳母アズメロウと共に彼女の嫁ぎ先に捨てられたラミュレン。だが乳母の夫は、想像以上の嫌な奴だった。 　乳母の息子であるリュミアンもまた、実母のことを知ら…

｢もう我慢ならん。お前との婚約は解消する！」 　見目麗しい紫の髪の伯爵令息は、婚約者カルーラ・ドンマインを自宅に呼びつけて、婚約解消を告げた。 「わかりましたサム様。今まであり…

｢もう、いつもそれだ。お前は俺の母親か？　もう聞き飽きたぞ。口を閉じろ！　それにか弱いガーベラを睨むなと、何度言ったら覚えるんだ！　お前の顔は怖いんだよ！」 「ですが、殿下」 …

　婚約破棄を申し込んで来たローズナの婚約者エルラークは、以前から王女と仲が良いと噂があった。 　妖精の祝福で20歳で死を迎える予定のローズナは、いろいろなモノを諦めていたが、あ…

　今はシスターのルカーニだが、そこに行くまでは命の危機があった。いろいろと乗り越えた先の平安は、かけがえないものなのだ。 (小説家になろうさん、アルファポリスさんにも載せてい…

侯爵令嬢アンシェルの父、ロマンドは喪に服して一年も経たぬうちに、再婚するとウキウキだ。口を出そうにも阻まれて、なし崩しで再婚相手を連れてくる始末。そんなだから亡くなった母は、ずっ…

｢あ、危ない！　何か落ちてくるぞ、逃げろーー ！！！！！」 「いやーーー ！！！　何なのよ！」 「まるで、こっちを目指して落ちて来るみたい ！」 「「うぎゃーーー！！！！！…

｢エリーゼよ、光栄に思うが良い。赤髭公爵の次の奥方として、お前が指名された。出発は明日の早朝だ！　わはははっ」 「嘘でしょ、お父様！　何を仰るのですか！？」 愉快に笑う父ビリー…

　今日はどうしても、隣の部屋が気になる。どんな人が住んでいるのか、訪ねてみたくなったのだ。 (小説家になろうさん、アルファポリスさんにも載せています)

　妹が私を蔑む。 「お姉様が苦労するから、どんなに大変かと思っていましたのに。こんな簡単なことに苦労なさるなんて」 　学園の成績が常に一位の妹は、学園に通い出した途端に私を馬鹿に…

｢ありがとうね、マール７セブン。僕、とってもお腹が空いていたの」 「美味しく食べてくれて嬉しいよ。じゃあね」 俺はマール７セブン。 自立式お料理ロボットだ。 ある天才科学…

｢貴方はもう、好きに生きると良いわ。鞄に入っているのは、これまでの慰謝料みたいなものよ。………遠慮せずに受け取って」 長年暮らした場所を僕、シューベルトは出ていく。 住みや…

｢本当にこれが、そう？」 ｢そうだ、たぶん」 ｢じゃあ、割るぞ、セーノッ」 　刃物を当てた瞬間、パッカーンと何かが飛び出した。 　なんと、可愛い女の子だ。 「ドワーッ、ち…

｢あれ？　 私どうなったのかしら？」 　メイドとして働いている伯爵家で倒れていた私。 　正確に言えば、ここの家のお嬢様に足をかけられて、転んだのだ。 　私はリビドー・ダンロ男…

｢お世話になりました。お元気でお過ごしください」 華麗な淑女の礼(カーテシー)をして、去っていく女性。 何故、母上はこんなことを言うのか？ 全ての謎は、10年前に遡る。 隠さ…

｢ああ、直樹。ごめんね、元気に生んであげられなくて」 「……僕は大丈夫だよ。謝ったりしないで」 　直樹は生まれつき心臓が悪く、入退院を繰り返していた。彼の母、未菜は治療費を稼…

｢クロエよ。俺は貴様との婚約は破棄して、愛しいサブレーヌと結婚する。その時になれば、この邸から即刻立ち去って貰うぞ！」 婚約破棄を叫んでいるのは、伯爵令息のリンゼール・ガルダ。…

｢悪いのだけど、別れて欲しい。俺が愛しているのは、ラジルニーニャだけなのだ。君のように教養もない女性ではなく、賢くて強くて美しい完璧な女性なのだよ。ハハハッ」 久しぶりに帰っ…

　母を亡くして1年が経った頃、父が再婚すると言って若い娘を連れて来た。 　ボッキュボンの私と年の変わらない少女だった。黄色の髪と茶目の瞳で、背の低い可愛い系。 　うちは商売で儲…

　顔が良い婚約者が好きだった。 けれどその言動が許せなくなった時、愛は憎しみに変わる。 だから内緒で、ある実験に付き合って貰ったのだ。 　ちょっとした仕返しをするお話です。 …

｢花は散るから、命を燃やして美しく咲き誇る。僕の好きな詩文の一節なんだ」 こんな陳腐な台詞が似合う、美しい顔の男は私の婚約者。 騎士団の副団長で、名前はランディス・グレイ。 金…

　先妻の子アマリリスは次期当主として奮闘していたが、ある日山小屋へ追放された。 使用人一人付けない仕打ちに、折れそうな心。 でもそんな時、突然前世の記憶が蘇り…………。 逆…

　ある日、侯爵夫人が教会に行く途中で暗殺された。でも、その暗殺には、様々な人の思惑が絡んでいた。 微笑みながら死んでいった、侯爵夫人ダリアの人生が明らかになっていく。 (小説…