小説を書く時、私は物語そのものだけでなく、
「この世界で人々がどう生きているのか」を考えることを大切にしています。
例えば、建物の雰囲気や街並み、組織の仕組み、能力のルール、人々の価値観。
そうした細かな部分が積み重なることで、「本当に存在している世界」のような
空気が生まれるのではないかと思っています。
もちろん、そのすべてを作品の中で説明するわけではありません。
読者の方の目に直接触れない設定もたくさんありますが、「見えない部分」まで
考えておくことで、キャラクターの行動や物語にも自然な一貫性が生まれる気が
しています。
『Transmission』でも、能力そのものより、「能力が当たり前に存在する社会
だったら、人々はどんな価値観を持つのか」というところから世界を組み立てて
いきました。
その結果として、法律や組織、街の構造、人々の暮らし方も、少しずつ形になって
いきました。
読んでくださる方には、「設定が細かい作品」ではなく、
「本当にどこかに存在していそうな世界」だと感じてもらえたら嬉しいです。
世界観は物語の背景ではなく、登場人物が生きるための土台。
だからこそ、これからも細かな部分まで楽しみながら作っていきたいと思って
います。
世界観は一度作って終わりではなく、物語を書き進める中で少しずつ育って
いくものだとも感じています。
これからも『Transmission』の世界が、少しずつ広がっていく様子を楽しんで
いただけたら嬉しいです。