「Transmission」という小説がどういった雰囲気の話であるかは、以前投稿した「Transmissionを書こうと思ったきっかけ」…でも少し触れましたが、今回は世界観についてもう少しお話ししてみようと思います。
この作品は、
未来都市。
ディストピア寄り。
監視・観測の世界。
能力格差や差別が存在する世界。
そして、広義な「継承」の物語。
……そんな空気感を持った作品です。
こうして並べると少し重たい印象かもしれませんが、物語そのものはキャラクター同士の掛け合いも多く、シリアス一辺倒ではありません。
それぞれの個性や関係性を大切にしながら、時に緊張感を伴い、時に少しコミカルに進んでいく物語になっています。
私がこの作品で敢えてこだわったのは、「遠い未来」を描いているにもかかわらず、人々の生活そのものは今とそれほど大きく変わっていないという点です。
都市部は大きく発展し、華やかに進化している一方で、地方にはどこか懐かしく穏やかな原風景が残っている。便利になっても、人そのものはそこまで変わっていない。そんな世界観を描きたいと思いました。
「Transmission」は人口の80%がサイキックという設定の物語ですが、それはあくまで「能力的な進化」であり、人間そのものが別の生き物になったわけではありません。
だからこそ、未来になっても差別は消えず、格差も残り続ける。
発展していくのは一部の都市ばかり――そんな、少し皮肉めいた空気も作品全体に流れています。
また、この作品において「監視」や「観測」は常に重要な要素として存在しています。
ただ、それは単純に「未来だから監視社会」という話ではなく、突出した能力を持って生まれたが故に人生を翻弄されてしまう人々の苦しさや理不尽さを描いています。
生まれ持ったPSI(超能力)が強大すぎたが故に、普通に生きることが難しくなる。それでも、その苦しみから抜け出すことはできるのか。
――この作品には、そんな問いかけも込めています。
物語は、一つの事件をきっかけに5人のメインキャラクターがそれぞれの立場、それぞれの思いで動き出していきます。ですが、この作品において事件はあくまでも「きっかけ」に過ぎません。
私自身、この物語の根底には「救い」というテーマがあると思っています。
もちろん、表立って「救い」を前面に押し出した作品ではありません。
どちらかと言えば静かに、ゆっくりと、気持ちや関係性、そして生き方が変化していく物語です。
誰が誰に救われるのか。
何を「救い」だと感じるのか。
その答えもまた、キャラクターごとに違っています。そういった部分も含めて楽しんでいただけたら、とても嬉しいです。
特に、キャラクター同士の関係性や立場、感情の変化については、自分なりに丁寧に描いたつもりです。どのキャラクターにも強い思い入れがあるので、お気に入りの人物を見つけていただけたら嬉しいなと思っています。
5人のメインキャラクターが出そろうまでには少し時間がかかりますし、物語が大きく動き出すのも第二部からになります。
そのため、現在連載中の第一部は、ある意味では「序章」のような立ち位置かもしれません。ですが、登場人物たちの関係性や事件の始まり、この世界の構造など、「Transmission」の土台となる要素を詰め込んだ内容になっています。
自己満足かもしれませんが、私はこの「Transmission」という作品がとても大好きです。この世界やキャラクターたちを、一人でも多くの方に知っていただけたら嬉しいです。
どうか、あなた様の心に少しでも残る物語になりますように。
琉風(ruca)