町田がガラケーからスマホに持ち替えたのは、忘れもしない、2010年10月のことです。
離婚の一週間ほど前にキャリアを乗り換え、電話番号を変えるついでにiPhoneを買いました。なので、かれこれユーザー歴16年なんですが、先日、ものすごく初歩的なところでつまづいてしまいました。
電話の仕方です🤙
町田はその当時、すでに発声障害を患っていました。
発症したのは2007年です。その当時に比べると、日常会話ができるだけマシにはなっているのですが、今でも受話器を持って電話をすると、緊張からか、どうしても声が詰まるんです。
なので、基本的には「ものすごく静かなところで」「スピーカーモードに切り替え」「軽くウォーミングアップや、喉のマッサージをしてから」電話をかけます。
仕事など、電話機に直接かかってくるときは仕方ないので、なるべくしゃべらない🤫
ひたすら相手の話を聞き、相槌を打ち、「それはどうなのか」と思っても「はい」「わかりました!🥺」で終わらせます。
そして、所持しているiPhoneについては、そもそも友達が少ないので電話がかかってくることがない🤭
一方、実家サイドもかたくなに電話をしてきません。
こちらに配慮しているわけではなく、長年一緒に住んでいないので、存在そのものを忘れられている。もしくは、田舎ならではの「事情」もあるんでしょう。たまに顔を見せに行くと、家族が入院していることもしばしばです。
よって、iPhoneで電話をすることが日常でほぼないんです。せいぜい三ヶ月に一回、クリーニングのために歯医者を予約するくらい。
なので先日、りんごアレルギーを発症してしまったときに事件は起こりました。
そのとき、それなりにがんばって職場の最寄り駅まではどうにか辿り着けていたのですが、やはりどうにも仕事はできそうにない。そこで、休ませてもらえないか打診してみようと思い、地下鉄構内から電話をかけたんです。
町田は通勤中にSOFT BALLETを聴くため、有線のイヤホンを使用しています。
ワイヤレスにしない理由ですか?
有線の方が見た目がかっこいいからです。ヘッドフォンにしない理由ですか?あれはむしろ、いかつい見た目が気になるからです。
それをやるなら、片方だけを耳に当てて、なんていうか知りませんけどカチューシャみたいなあのバンド部分は首の後ろに回し、「ふんふん」と鼻歌を歌いながらつけると思います。
……それもどうなのか。
ともあれ、有線イヤホンをiPod時代より長年愛用しています。その状態で、町田は職場に電話をかけました。
「……ちょっと待って。これって、どうやって話したらいいかわからんのだけど?」
自分からかけたくせに、「るるるる♪」と電話をかけているあの音をイヤホンで聴きながら、一人パニックに陥りました。
そしてつつがなく電話がつながり、職場の事務員の方が「はい、〇〇〜」と話し始めた途端、イヤホンを引っこ抜き、スピーカーモードに切り替え……。するとなぜか、相手の声がまったく聞こえなくなってしまったんです。
あわててiPhoneを受話器のように持ち(スピーカーモードなのに……🥺)、なんとか話しかけてみるも、やっぱり相手の声が聞こえない。そうするうちに、電話もプツッと切れてしまいました。
「ぴえん」となった町田は、改札を抜け、雑踏から抜け出し、なるべく静かそうなところまで移動してから、もう一度電話をかけてみました。いつもどおりの「イヤホンなし」「スピーカーモード」です。
それでどうにかお仕事を休むことができたのですが、その帰り道の車内でぐったりしつつ、「……ところで、イヤホンをつけながら電話するの、どうやってやるんだろう?」と、チャッピーに質問しました。職場の休憩室でそのように電話している人をよく見かけるので、できないはずがないのです。
すると、「イヤホンの操作ボタンがマイクになっているから、口に近づけて話せばいいですよ」と、チャッピーは優しく教えてくれました。
その真偽は定かではありませんが、iPhone永年初心者である町田はひとまずその言葉を信じておくことにしました。
操作ボタンを口に近づける。
その仕草も、なんだかハードボイルドでいい感じじゃないですか。
とはいえ、イヤホンをつけた状態で電話がかかってくることもそうそうないでしょうから、きっと忘れた頃にまたパニックになるのでしょう。そのころには、電話のあり方そのものが変わっているかもしれないですね。
というわけで、長編小説「廃星」の続きです。
「廃星」
Ep.08-1「レプリカ・アステリズムは夕星を歌う」
https://kakuyomu.jp/works/2912051597516971811/episodes/11054822665332478201
この章の主人公は、旧朝霞駅前の花屋「フラワーショップおばな」の歌恋ちゃんです。
前章の「カノープスのゆりかご」のラストで、久能先生が「駅前の花屋で墓花でも買うか」と内心こぼしていた、その花屋の娘さんです。
6章の主人公で「シェアライブラリー」を起業した茉莉花ちゃんとは「本好き」という点では類似していますけど、茉莉花ちゃんが文学を行く末を憂いつつ、それを「ビジネス」に転化したのに対し、歌恋ちゃんはさしづめ「ガチ勢」といったところでしょうか。
なので、書いた本人が言うのもなんですが、この章は短いながらも読み手のワーキングメモリをやたら削りまくる、「いちばんやっちゃいけない」パターンだと思います。
ところどころ、「あー!」って叫びたくなるかもしれません。
本当にごめんなさい🥺
ちなみにですが、この8章は、続く9章とワンセットになっております。
「廃星」は、人類滅亡のために「生まれてくる子どもを国(あるいは国連)の管理下に置く」という主旨の話ですが、8章と9章は「その子ども(ロット・チルドレン)を育てる未来の先生(研修生×2)」のターンになります。
タイトルの「夕星」ですが、「ゆうずつ」と読みます。
ワーグナーの歌劇「タンホイザー」のアリア、「夕星の歌」から拝借しました。ちなみに、夕星とは「宵の明星」のことなんですが──。
Q.「ところで、この章に『宵の明星』は登場しますか?」
A.「出ません。しかし、明けの明星なら登場します」
というわけで、このあたりはざっくり言えば「雰囲気」です🤭