昼休みの食堂。
エルの前に置かれたトレーは、いつにも増してきらきらしていた。
中央には、つやつやの卵に包まれた大きなオムライス。その周囲を、色とりどりの小さな惑星が光の軌道を描きながら、ゆっくり公転している。
隣には星形の具が浮かぶ宇宙色のスープ、透き通った桃色の銀河ゼリー、星を散らしたサラダ。
すべて、エルが魔法で生み出したものだった。
「おおーっ! なにこれなにこれ!」
食堂へやってきたロジーが、一直線にエルの隣へ座った。
頭上のデバイスを明滅させながら、トレーの端から端までを忙しなく観察する。
「エル、今日のごはん、いつもより派手だね!」
「うん。宇宙にしたよ」
エルはオムライスをひとさじ食べながら、頭の上を通り過ぎた小さな惑星を目で追った。
それから、輪のついた橙色の惑星を指先でつまむ。
光の軌道がぷつりと切れ、残りの星々が少しだけ間隔を詰めた。
「食べる?」
「食べる食べる!」
ロジーは差し出された惑星を受け取り、ためらいなく口の中へ放り込んだ。
かりっ。
その直後、ロジーの目が見開かれる。
「あっっっま!!!」
叫び声が食堂中へ響いた。
近くの職員たちが一斉に振り返るなか、エルは不思議そうに首を傾ける。
「甘い惑星」
「限度があるでしょ! お砂糖を丸めて、その上から蜂蜜と練乳を塗って、最後に角砂糖の粉をまぶしたみたいな味したよ!?」
「そんな感じで想像した」
「だいたい合ってた!」
それでもロジーは興味を失わなかった。
今度はエルのスプーンを借り、オムライスの端をひとくち分だけすくう。
「こっちは普通の味だよね?」
「とってもおいしいよ」
「ほんとー?」
ぱくり。
ロジーの動きが止まった。
ふわふわの卵はカスタードのように甘く、ケチャップに見えたソースは苺味。中のライスまで砂糖で炊いたような甘さだった。
「あっっっま!!!」
二度目の叫び声が、さらに遠くまで響き渡る。
エルは平然と同じオムライスをもうひとさじ頬張った。琥珀色の瞳を満足そうに細めている。
「おいしいよ」
ロジーは信じられないものを見る目で、エルと、まだ惑星が回り続けているオムライスを見比べた。
「エル、デブになるよ」
エルはスプーンを止めた。
自分のお腹を見下ろし、少しだけ考える。
「……それも、人間っぽいね」
「目指さなくていいやつ!!」