袖振り合うも多生の縁。毎日、意識していても、していなくても、隣を通り過ぎただけの人だとしても、今の自分を作る少しの要因になっていると感じます。
友人というのは、その中でもかなり自分に対する影響力の大きい存在ではないでしょうか?
多感だった中学生の頃、私が一番影響を受けた友人は、一匹のメスの野良犬でした。
私の周りには仲良くしている人間の友人もいましたが、その頃の私が本当に心を開いていたのは、間違いなく彼女でした。
毎日、学校に行くまでと、学校から帰ってきたあとの時間を一緒に過ごし、休日はずっと私の部屋の縁側にいて離れませんでした。
しかし、残念ながら彼女と私には悲しい別れが訪れました。
突然の事で、さよならを言うこともできませんでした。そのあと、1週間の記憶が私にはありません。
その間、どうやって過ごしていたのか分かりませんが、その1週間目に私を現実に連れ戻してくれたのは、人間の友人たちでした。
犬の彼女も、人間の友人たちの存在も、この出来事は今の私を作る、大きな要因になりました。
犬の彼女と一緒にいられたのは、わずか10日ほどの期間でしたが、彼女の存在は今も私の中に与えた影響として、ずっと残っていくのです。