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次作構想

こんにちは、藍銅 紅(らんどう こう)です。

次作、三姉妹話のプロットを立てている途中なのですが。

他の話のネタがポコポコと浮かんできております。
ネタはあるうちに、プロットを組んでおけば、あとでちゃんとお話になるっ!

と言い訳で、今、いろいろプロット作っとります!

次作、お待ちただければ幸いですm(__)m



三姉妹話は、こんな感じです↓



結婚式は盛大に行われるはずだった。招待客もかなり多かった。
ジェニファー姉様とクルト様の婚姻が、大勢の人たちに祝われているというよりも、ジェニファー姉様の貴族学園での同窓生、フランツィスカ・エル・ヴァイセンベルク第二王女殿下がご参列くださったことの影響が大きいのだろう。
列席者たちは、結婚式会場の祭壇の前で神父様と共に花嫁を待つ新郎のクルト様よりも、参列席の一番前の席で優雅に微笑むフランツィスカ第二王女殿下のほうが気になっているらしい。皆一様に、フランツィスカ第二王女殿下をちらちらと見ているのだ。
艶やかな長い黒髪にサファイアのような青い瞳を持つフランツィスカ第二王女殿下は、まるで陶器の人形のように美しい。ジェニファー姉様の清楚な美とは全く違い、存在を主張するような、圧倒的な美貌。
だけど、今日の主役はジェニファー姉様。
ああ、早く、世界で一番幸せなジェニファー姉様のお姿を列席の皆様に見てもらいたい。そうして皆にジェニファー姉様のことを祝福してほしい……などと思いながら、わたしはジェニファー姉様の登場を待っていた。
ようやく、会場の扉が開き、お父様にエスコートされたジェニファー姉様が登場した。盛大な拍手に一礼をして、列席者の間をゆっくりと歩いてくるジェニファー姉様。 
それを、神父様と共に祭壇の前で待つクルト様。
だけど、ジェニファー姉様がクルト様の元へとたどり着くその直前、いきなり、クルト様が言ったのだ。
「政略による婚姻に過ぎないのだから、婚姻相手を姉(ジェニファー)から妹(ユリア)に変えても不都合はないよな」と……。
 え? 今、クルト様は、なにを言ったの……?
わたしは信じられない思いで、クルト様を見れば、クルト様は重ねて言った。 
「ずっと思っていたんだよ。俺の婚約者がジェニファーではなく、ユリアだったらよかったのにってさ。だって、ジェニファーは地味だろう? 髪だってありふれた栗色で、特に目立つようなところはないし。それに比べてユリアはかわいい」
ジェニファー姉様は紙のように真っ白な顔になった。今にも倒れそう。わたしは慌てて、ジェニファー姉様のそばに駆け寄った。
「クルト様ぁ、ユリア、嬉しいですぅ」
 舌足らずな甘い声。ユリア姉様だ。
呆然としている周囲の人たちなど、気にもかけずに、親族席から立ち上がり、そして、クルト様の待つ祭壇へと走っていった。
そのまま、クルト様に抱き着くユリア姉様。
クルト様は、そんなユリア姉様を、ぎゅっと抱きしめた。そして、ユリア姉様のピンクに近い薄茶色の髪を、愛おしそうに撫でる。
ジェニファー姉様のほうなど、見向きもしない。
「神父様。このユリアが俺の真実の愛の相手だ。今から本当の花嫁との結婚式を始めさせていただこう!」
 舞台俳優のように、高らかに宣言したクルト様。
神父様は戸惑っているのか、それとも呆れているのか、ただ、口をぽかんと開けていた。
「えー、でもぉ、ユリア、ウエディングドレスじゃなくて、フツーのドレスよぉ。結婚するならぁ、やっぱりぃ、ウエディングドレスを着たいわぁ」
 ユリア姉様は、光の加減によってはパールピンク色だけれども、パッと見た目には白い色に見える光沢のあるドレスを着ていた。
「そうだな。じゃあ、みんなにはちょっと待っていてもらって、着替えようか。ジェニファーのウエディングドレスを着ればいいだろう?」
 クルト様のその発言と同時に、ジェニファー姉様の体がぐらりと揺れた。
「ジェニファー姉様っ!」
あまりのことに、ジェニファー姉様は意識を失ったみたいだった。血の気が引いて、貧血でも起こしたのかもしれない。わたしはジェニファー姉様の体を支えきれずに、ジェニファー姉様の体を抱きしめたまま、床にへたり込んでしまった。
 すぐ横に立つお父様を見上げる。お父様は「やっぱりこうなったか……、仕方がない。ユリアを花嫁にするか……」と、ぼそりとつぶやいた。
 その言葉が信じられなかった。
こうなることがわかっていたの?
 ユリア姉様とクルト様を咎めることなく、花嫁をジェニファー姉様からユリア姉様に変更する?
嘘、でしょう……?
お父様のつぶやきが信じられなくて、わたしはお父様を凝視した。
結婚式の招待客たちはざわついている。クルト様のご両親はといえば、困った顔はしているけれど、仕方がないとばかりにため息を吐いただけだ。
 そんな状況を破ったのは、フランツィスカ・エル・ヴァイセンベルク第二王女殿下だった。
「馬鹿々々しい茶番には付き合っていられないわ。あたくしは、帰ります」
 すっと立ち上がったフランツィスカ第二王女殿下。まっすぐな黒い髪が揺れた。
「お、お待ちください王女殿下。お待たせするのは申し訳ないですが、すぐに俺と、このユリアの結婚式を……」
行いますとか、しますからとか、そんな言葉をクルト様は続けることはできなかった。ぎろりと、フランツィスカ第二王女殿下がクルト様を睨んだのだ。
「あたくしは、ジェニファーの祝いにとやってきたの。お前などには用はないわ」
 わざとらしく、コツコツと靴音を立てて出ていこうとするフランツィスカ第二王女殿下。その靴音が、わたしの……いや、ジェニファー姉様の横で一度止まった。
「ジェニファーの身は、このあたくしが預かります。守ってもくれない両親と、自分を裏切った泥棒猫のいる家には帰りたくないでしょうから」
 フランツィスカ第二王女殿下が目配せをすると、王女の護衛らしき騎士がわたしのそばに駆け寄って、すっと膝をついた。わたしからジェニファー姉様を受け取り、起こさないようにとそっとジェニファー姉様を抱き上げる。
「ああ、あなたはどうする? できの悪い茶番に付き合うの? それとも、ジェニファーと一緒に来る?」
「よろしければ、姉と一緒に行かせてください」
わたしは即答した。
「そう、ならばついていらっしゃい」
「はいっ! ありがとうございます!」



ちょっと修正するかもしれませんが、だいたいこのようなお話です。



ついでに、小学校5年生、異世界に家出する的なお話。タイトル考え中。


 古い県営団地の、ペンキが剥がれかけた玄関のドア。いつものように、ランドセルにつけてある鍵をまわして、そのドアを開ける。開けると同時に怒鳴り声が聞こえてきた。
 桃香お姉ちゃんだ。
「あー、もうっ! むっかつくっ! お母さんの顔なんて見たくないっ! 絶対に家出するっ!」
 ドアを開けたまま、わたしは息を呑んだ。
 家出……って、なに?
「桃花っ! あんた、なにを言うのよ……」
「あたしに家出してほしくなかったら、スマホくらい買ってよっ!」
 ケンカ……してるの? 
 スマホが欲しくてわがままを言ってるだけ……?
「中学生にもなってキッズケータイを使い続けているって、ありえないでしょ。クラスの友達はみんなスマホだよ? あたしだけ……」
「仕方ないでしょ、うちにはお金がないの」
「だったらもっと働けばいいじゃんっ!」
 桃香お姉ちゃんの声がトゲトゲしてる。
「……これ以上、どうやって? ただでさえ夜勤続きで疲れてるっていうのに。これ以上働けなんて……。お母さんに死ねっていうの?」
 怒って、爆発する寸前みたいなお母さんの低い声。
 怖い。
 わたしが叱られているみたい。
 お母さんは毎日すごく大変。
 夜に働いて、朝に帰ってくるときもあれば、昼間に働いて、夜は家にいることもある。
 病院で、病気の人のお世話をするのはしんどいって、いつも言っている。
 わたしが小学校から帰ってくる時間は、たいていソファでぐったりとしているか、仕事で不在。
 でも、仕方がない。うちにはお父さんがいない。
 中学生のお姉ちゃんと小学生のわたしは働くこともできない。
 お洗濯とかお掃除とか、お手伝いするのが精いっぱい。お料理は、火を使うのはダメだって言われている。だから、お母さんがお休みの日に作っておいてくれる、日持ちのするおかずを保存容器に詰めて、冷蔵庫に入れる程度。
 仕事して、お家のこともして、お母さんはいつも疲れている。少しくらい、休ませてあげたいなと思うんだけど。わたしにできることは少ない。
 なのに、ケンカしてるなんて。
 桃花お姉ちゃんはひどい。
 そう思った。
 だけど。
「あたし一人だけ、みんなとちがってはずかしいのよっ! スマホじゃないし、塾も通わせてくれないし。休みの日に友達と一緒にカラオケに行くことすらできないなんてっ!」
 みんなと、ちがって、はずかしい。
 桃花お姉ちゃんの、その気持ちは……わたしも、わかる。わかってしまう。
 わたしの黒いランドセルは、いとこからのおさがりだ。
 みんなと同じ、新品が欲しかった。
 色も黒なんかじゃなくて、かわいい水色が良かった。でも、それを言うとお母さんが困るから「黒もカッコイイね」なんて、笑ってみせたけど、ホントは嫌だった。
 わたしが着ている服も、持ち物も、ぜんぶ、桃花お姉ちゃんのおさがり。洋服のタグに「桃花」って名前が書いてあって、それをマジックで消して、その横に小さく「真白」と書く。
 わたしはキッズケータイも持っていない。
「真白には必要ないよね。学校とお家以外に行かないもんね」ってお母さんは言う。
 図書館だって、友達と一緒に公園にだって行くよ。ちゃんと夕方の五時には家に帰るから、必要はないかもしれないけど……わたしだってほしい。
 でも、新しいわたしだけの物を買ってくれることは、きっとない。必要になるときが来ても、桃花お姉ちゃんのおさがりをもらうことになるだろう。
 だから、いつかわたしも、今の桃花お姉ちゃんのように「みんなはスマホを使っているのに、わたしひとりだけ、お姉ちゃんのおさがりのキッズケータイなんて恥ずかしい」と言うかもしれない。
 家出するなんて。桃花お姉ちゃんみたいに、わたしも言うようになる?
 でも、家を出て、どこに行くの? 
 学校? 
 公園? 
 ごはんはどうするの? 
 寝るところは? 
 お金だって……ないのに。
 桃花お姉ちゃんの気持ちはわかるけど、だけど、お母さんに怒鳴ったって仕方がない。だって、どうしようもない。
 ランドセルを背負ったまま、わたしはそっとドアを閉めた。
 足音を忍ばせて、階段を下りる。
 外は晴れ。もうすぐ夏休み。青い空には入道雲が見える。
 だけど、家の中は真っ黒な嵐みたいだった。
 あの言い争いの嵐の中に入りたくない。
 お母さんと桃香お姉ちゃんの、ケンカの声なんて、聞きたくない。
「……学校に、戻ろうかな」
 だけど、下校時刻は過ぎている。
 学校に行ったら、先生に怒られるかもしれない。校門も、閉まっているかもしれない。
「……忘れ物をして、取りに来たって言ったら、大丈夫かな。ウソだって、ばれちゃうかな」
 通学路をとぼとぼと歩く。
 セミの鳴き声が、さっきの桃香お姉ちゃんの声みたいで、すごくうるさい。
 聞きたくない。
 逃げるみたいにして走る。
 吸い込む息が熱い。
 水を飲まないと熱中症になる。
 だけど水筒はすでに空だった。
「どうしよう……。あ、そうだ、パンダ公園」
 うちの団地から、小学校の近くまで続いている親水緑道。
 住宅街を縫うようにして、細く長く続いている川というか、水の流れがあって、その川に沿って、遊歩道がずっと続いている場所なのだけど。
 ところどころ道の幅が広くなっていて、そこに休憩用のベンチやテーブルが設置されていたりする。
 道沿いには花壇にはきれいな花も咲いている。春はチューリップ。今はひまわり。
 水道もあるから、水が汲める。
 公園と言うほどの広さはないし、遊具があるわけではないから、本当は公園というのはおかしい。
 だけど、友達はみんなその道の広いところを「パンダ公園」と呼んでいる。 
 なぜかというと、「親水緑道案内図」とかいう看板があって、簡単なコース案内図と、かわいいパンダのイラストが描いてあるから。
 単純。
 でもわかりやすい。
 川沿いで、木陰もあるから涼しいかもしれない。
「よし、行こう」
 少しだけ、足取りも軽くなる。
 日向の道から、木陰の道へ。それだけでも涼しく感じてほっとする。
「あ、あった」
 パンダの看板の、少し離れたところの水道から、わたしの持っている水筒に水を入れる。ベンチも空いていた。そこに座って入れたばかりの水を飲む。
 温い。
 お母さんとお姉ちゃんがケンカなんかしていなかったら。今頃、クーラーの効いた涼しい部屋で、氷水でも飲めたのに。
 そう思うと、無性に冷たいものが飲みたくなった。
「ケンカ……終わったかな。帰ってもだいじょうぶかな……」
 独り言をつぶやいたつもりだった。なのに。
「んー、まだだねぇ。君のお姉ちゃん、今、ソファのクッションを、君のお母さんに投げつけたところ」
 返事があった。
「え⁉」
 声に驚いて、わたしはきょろきょろとあたりを見回した。
 誰も、いない。
 いつもなら、犬の散歩とか、ウォーキングの人がいるのに。
 右を見ても、左を見ても、誰もいないのに、声がした。
 怖くなって「お、おばけ……?」とか思ったら。
「あはは、違うよ。ボク、ここだよ」と、また声がした。
 声がしたほうを見ても、やっぱり誰もいない。
 ただ、パンダのイラストの案内図があるだけ。
「わかんないかなあ、ここだよ、ここ」
 その案内図の、パンダの口がモゴモゴと動いていた。
「え……?」
 口だけじゃない。イラストのパンダがわたしに向かって手を振っている。そして、
「あ、よいしょっと」
 かけ声とともに、看板からパンダが抜け出してきた。
「やあ、真白ちゃん。ボクのことは親しみを込めて『パンダさん』と呼んでくれたまえ」





さわりだけですが、お楽しみいただけたら幸いm(__)m

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