「最強聖女はとにかく魔女と間違われます」、第6話で第一章終了です。
第二章からは2~3日おきの更新になります。完結済みゆえに、ストックが尽きてしまうという中の人の理由でございますね……。
はい、第二章からはのんびりと非日常な事件が起きていきますよ!
それはともかく。
この話、三人称で書いていますが、改稿時に一人称にしたほうがいいんじゃないかと結構悩んだのです。軽めをイメージしていたので、そのほうが読みやすいのかなと思ったりして……。
ただ、一人称だと問題が出てしまうのです。
私のお話、キャラがひとところにいる事が少ないのですね!つまり、このまま一人称にしてしまうと、必要な情報が出てこなかったり、もしくはやたらと視点(語り手)の変更が多い話になってしまいます。
例えば、2話の聖女のお仕事、はカーネリア視点でしか語ることができないお話で、その次の3話と4話はカーネリアがお仕事中に、エルとジークが聖女や魔女の情報を話してる回で、どっちも省けない。
こーゆー状況が多発するのですよ。うーむ……。
基本的には、書き始めるころというかネタ段階で人称は決めているので、この話以外で迷った事ないんですが……。
ほんで、ここから下はノベプラさんの企画で書いたプロローグ部分を一人称にしたもの。
台詞はまったく同じで、一人称と三人称を書いてみようって企画があったんですね。
丁度いいので、企画に使った部分を載せてみます。主人公視点です。
▼ここから▼
「さて国王。なにか、言い残すことはあるか?」
ベッドに伏せる国王を見おろし、私は不敵に笑ってやった。無駄に豪奢な天蓋付きでふかふかのベッドに沈む初老の男は、私の笑顔に潜む感情に気が付いたのだろう。目を見開き、口をぱくぱくと動かすが、なんの言葉も聞こえてこない。今回の『儀式』に関して、実際よりも少しだけ強めに説明をしたのだが、それが思っていたよりも効いたようだ。この、読めない狸にしては珍しい。自然、私の笑みも深くなるというものだ。
「……ふむ。そこまで恐怖することもないぞ? 先ほども理由は話したが、言いたいことがあれば言っておかねば――」
芝居がかった声色で言いかけた脅しは、扉を叩き破ったかのような轟音で遮られた。飛び込んできたのは、見覚えのない金髪の若い男で、王国騎士団の制服をきっちり身につけている。私に抜き放った剣をすらりと突き付ける姿は、異様に整った外見と相まって王を助けに来た勇者のように見えた。
しかし、残念ながらそれは見た目だけで、彼にそれほどの実力がないのは一目でわかる。
「王を誑かす魔女め! そこから離れろ!」
それでも青年は、熱のこもった叫びをあげ私を牽制する。強い言葉にしばしの静寂が流れるが、私は騎士の叫びを聞いて頭を抱えたくなった。ため息をつき、国王をじとりと見やる。
「……離れろと言っているが」
私の言葉に、王はぶんぶんと子供のように首を横に振り、あろうことか私の腰に縋りついた。そんな事をしたら、この勘違い騎士サマはもっと勘違いしてしまうだろうに。
思った通り。
青年が激昂する。
「おのれ魔女め……! 魅了の呪いでもかけたかッ!」
そんなもの、金をもらってもかける気などない、と言い放とうとした時だった。
ばたばたと、外が騒がしくなる。青年はそれを聞き、勝ち誇ったように口角を上げた。
「じき、この部屋は騎士団に占拠される。逃げ場はないぞ」
「そのようだな」
一体、どちらに逃げ場がないと思っているのか。
私は王をベッドに横たえながら、大股で近づいてくる足音の主を待った。
「こんの馬鹿モンッ! 王室で剣を抜くとは何事かッ!!」
ああ、あれは頭が割れたな。ついでに鼓膜も逝ったとみえる。
頭を押さえて悶絶している青年をよそに、同じ騎士団の制服を着た男はいつも通りの暑苦しい動きで太い腕を上げ、私たちに向かって敬礼をした。
「申し訳ございません、国王陛下。部下が聖女さまの癒しの儀式に乱入した挙句、お二人に剣まで向けるとは……ッ! このクリストフ、王国騎士団団長として首を差し出す覚悟でございますッ!!」
「あー……うん。そーゆーの、暑苦しいからやめて。君に死んでもらっても、国として困るだけだし」
▲ここまで▲
ノリとしては、こっちかなって思わなくもないんです。
でも、うまーく必要な情報を開示しながらそんなに視点(というか語り手)変更をせずに話を組み替える事ができず……。
まあ、自分の力不足なんですけど(ノД`)・゜・。
どですかね、一人称……。
一度、一人称と向き合ってみるのもアリな作品かなとは思っております。
いつも応援や☆、コメントやフォローなど、本当にありがとうございます!
ごゆるりとお楽しみくだされば幸いです(ぺこり)。
「最強聖女はとにかく魔女と間違われます」
最強聖女とイケメン平凡騎士とちょっと変わったモフモフによる、ドタバタちょっとだけシリアスもあるよファンタジー。
『災厄の魔女』が封印された平和な世界の日常と、ほんの少しの非日常の物語。
手元で完結済み。さらっと読めるので読んでやってね。
https://kakuyomu.jp/works/16817330666068996209