このノートをご覧いただきありがとうございます。
このノートは最近書いている物語の主人公達が、記憶喪失だったり、うつ病だったり、複雑性PTSDだったり、精神障害を持っている主人公ばかりでした。
そこで、調べたりしたことをまとめて共有しようと思い、このノートに書いています。
今回は記憶喪失がおきるメカニズムを置いておきたいと思っています。
記憶を失う原因は、大きく分けて「器質的要因」と「心理的要因」があります。
器質的 (物理的) ダメージ・事故による頭部外傷、脳卒中、脳炎、アルコール依存による脳機能障害など。
心理的・精神的ダメージ・極限状態のストレス、トラウマ体験、耐え難い悲劇からの防衛反応。
簡単にまとめると、アニメやドラマでよくある頭を打ったら記憶喪失みたいな物理的なのが器質的な記憶喪失。
もうこの現実辛い、無理、となり心を守る為に記憶を閉じるのが心理的な記憶喪失。
と大きく2つに分けることができます。
では、記憶喪失になってからどう記憶が戻っていくのか、ここはかなり重要です。
物理的に記憶喪失に落ちるのと、精神障害で記憶喪失に落ちるのでは、物語の書き方がまるで変わってきます。
それは記憶喪失のメカニズムの違いにあります。
それぞれ分けて話していきます。
器質的健忘……、つまり物理で記憶喪失になった場合。
脳の特定の部位(海馬や大脳皮質など)が直接ダメージを受け、「記憶を記録する・引き出す機能そのもの」が壊れてしまうイメージです。
記憶の消え方の特徴としては「新しいことを覚える機能」が真っ先に壊れることが多いらしいです。(これを前向性健忘というらしいです)
過去の記憶も、古い順ではなく、ダメージを受けた直前の出来事から段階的に失われていく傾向があります。
つまり過去の記憶はあまり失わず、現在の記憶から消えていく、というイメージです
特筆べき特徴としては、本人の意思とは関係なく、脳という「ハードウェア」が故障している状態です。
したがって、頑張って思い出そうとしても思い出せません。
検査で脳の異常がはっきり見えることもあります。記憶の戻り方も、脳の機能が回復するにつれて少しずつ、という「リハビリ的な経過」をたどることが多いですね。
考えていたプロットとしては、付き合っていた今の彼女を忘れて幼馴染とのラブコメ、記憶が徐々に戻り修羅場みたいなのを考えていましたが、納得できる部隊が描けずボツになりました。
心因的健忘(心理的な葛藤やトラウマによるもの)
こちらが私が書く物語の、メインで使うことになった記憶喪失の設定でした。
簡単に言うと、脳の機能自体は正常ですが、「思い出すとあまりに辛すぎるから、自分を守るために無意識が記憶を隠している」という状態です。
こちらにも記憶の消え方の特徴がやはりあります。
「自分自身に関する記憶」だけが、すっぽりと抜け落ちることが多いみたいなのです。
反対に、一般知識(言葉の読み方、楽器の弾き方、車の運転等)は保持されていることが多いのが特徴です。
脳は「思い出せる状態」にあるけれど、心に強力な「鍵」がかかっている状態。
心理的な安全が確保されたり、別のショックが重なったりすると、突然パッと記憶が戻ることもあります。
検査では異常が見つかりません。
なぜ自分を忘れたのか、その背景に隠された「物語の核心となるトラウマ」が何なのか、という設定を小分けに出しながら描写していくのに使える設定です。
一方で、記憶喪失になるほどのトラウマ、心理的ダメージは物凄い力になりますので、基本的に背景が重くなりなりがちな所が応用のしにくさがあります。
逆にいうと、そういった極限の状況でしか起きない記憶喪失なので、心が限界を迎えたその瞬間に記憶を失うほどの『守り』が働く……。
それだけその記憶や過去が、キャラクターにとって大切で、かつ直視できないほど痛々しいものだったんだと描写出来れば、物語としての深みが増す気がします。
これからも、キャラクターの心の動きを大切にしながら、丁寧に物語を紡いでいきたいと思っています。
皆さんの作品作りの参考になれば幸いです。