一万字以下の短編予定の1話
なんとなく書きたくなった。
そして書いた全9話。
珍しいダークファンタジー。
冒険者ってこんな感覚。
https://kakuyomu.jp/works/16817330667910529211以下本文(リンク先と内容同じ)
所詮、この世は修羅《しゅら》と苦界《くがい》を漂《ただよ》う渚《なぎさ》のよう。
かさりと服を着る音で目が覚める。
「もう起きたの、シュラク?
今日は休むんでしょ、まだ寝てたらどう?」
長い緑の髪を一本にくくり横に流し、穏やかな笑みを浮かべるナターシャはそう囁《ささや》きながら、俺の黒い髪を優しく撫でた。
昨晩は幼馴染で恋人のナターシャと夜を共に過ごし、情事の後がベッドに残るがナターシャはすでに服を着ている。
「ああ、いや、装備のメンテナンスがあるからもう起きる。
……今日はサレドのパーティに参加してダンジョンに潜るのだったな」
サレドのパーティは男剣士3人、女魔導士1人のパーティだ。
サレドはそのリーダーを務める冒険者歴4年の精悍な剣士だ。
弓使いのナターシャでバランスを取りたいらしく、臨時での参加をすることになったそうだ。
俺たちは同じ村からの幼馴染同士男女4人でパーティを組んで冒険者を初めて2年目。
そろそろ中堅へとかかろうとしていた。
普段はその4人での行動だが、他パーティとの交流に技術向上を兼ねて、それぞれがこうして時々、ソロで他のパーティに参加することがあった。
予定は3日。
2日はダンジョンに潜り、残る1日は……サレドとベッドの中にでも潜るのだろう。
「行ってくるわ」
「……気をつけてな」
ナターシャは再度、微笑み俺の唇にキスを落とす。
そうして部屋を出た。
それから3日後。
ナターシャを含むサレドのパーティが行方不明になったと知らせが入った。
全滅したのだ。