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新作ネタ:社畜チートは構ってられない(全面ギャグコメディ?)

【社畜がチートを得たけれど〜ハーレムは無い、チートだけある。ザマァも何も幼馴染も居なければまともな出逢いも無い俺に明日はあるのか?〜】

思い付いたので。
後悔はするけど公開は……まだしない。

最終的にこのストーカーがヒロイン(?)予定

以下本文
【第1話】
 週末明けの月曜日。
 いつものように22時帰りの途中の道で目の前に羽付亀が現れた。

 ソイツが言うことには俺はチートを得たらしい。
 以後、自分と望んだ相手のステータスが分かるらしい。

 その直後から、変なモノが見えるようになった。
 化け物と闘う女子高生とか、ストーカーとか。

「ストーカーは最初から居たよ?」
 羽付亀はそんな風に言う。

 もちろん、限りなく黒に近いグレー会社の社畜の俺にそんなモノは見えない。
 見えないったら見えない。

 だからボロアパートの部屋へ帰って、速攻で寝た。

 残念だが、今日も何事もなく出勤出来た。




【第2話】
 今日も夜の22時。
 安定した時間に帰れることは良いことだ。
 一定のリズムにさえ乗れれば、我が社畜公国は後3年は戦える。

 その後はさらに戦えば寿命は最短ルート、身体を壊せば逃亡出来る。
 ワンチャン、身体を壊すために今を乗り切っていると言って過言では無い。

 社畜と言いながら、夜22時に帰れるのに何を言ってるんだ、と思うことだろう。

 そうなのだ。
 夜22時なら十分生存圏内!
 下には下がいる。

 もっともそれ以下だと労基様の監察が入ってお休みをもらえる可能性があるので、もしかしたら限りなくグレーの方が生かさず殺さず、丁度良いのかもしれない。

「いい感じに頭の中が沸いてしまっているのが良く分かるね!」

 そりゃあ、当たり前だ羽亀!
 目の前で女子高生と化け物のドンバチ見せられてるんだ、羽の付いた亀を見てステータスがどうのこうの言われただけでお腹いっぱいなのに、俺はもう限界だ!

 22時に帰れて何が不満だ、この軟弱野郎と世の絶賛黒に染まって命の命数を減らしているお方たちは言うかもしれねぇ。

 だけどな?
「あ、言わなくていいよ、無駄だし」

 まあ聞け、羽亀。
 朝6時に起きて、準備して6時半に出発して歩いて15分、電車の中で45分(途中乗り換え1回)、時々のメンタルハザード怒鳴り散らしを受けながら、魂削って定時は17時でお疲れ様なんて言うヤツはそこから社長の説教2時間コース、黙ってサービスサービス(みなし労働と言って込み込みらしいよ?)、そこからどうにかこうにか9時に飛び出すヤツと共に会社からの大脱走劇、営業部長に捕まったヤツはそこから無意味なエクセル入力(次の日には破棄)、それらの地獄をくぐり抜け、たまに見かける酔いどれ戦士と同じ電車に揺られ揺られて週6日!(土曜日は残務処理という名のサービスさ!)
 たまに来る祝日がどれだけ嬉しいか!
(土曜日と重なったら祝日は消滅する)

「それで今ここだ。
 正直、夜歩きの無関係な女子高生や羽付の亀が妖精の如く俺の周りを飛び回っていても、気にしてなんかいられまい。
 あ、ストーカーはダメ。
 あれ、マジで怖かった。
 俺、遭遇するまでストーカーでも良いから出逢いが欲しかったけど、アレは無理。
 超怖い」

「世知辛い世の中なのは分かったけど、やっぱりわざわざ聞く必要もないよね?」

 聞けよ!
 愚痴をこぼしたくても、飲みに行く時間も遊びに行く時間もねぇんだ。
 同僚って言ったって、俺の歳(27歳)と近いのも居なくて、皆ひとまわりは上で話しづらい!
 同年代のヤツら何処行ったんだ!?
 ホワイトか!
 伝説の異世界ホワイト企業か!

 そういうマンガあったけど、アレってブラック繰り返している人間からすれば、労働基準法守る会社って本当に存在するのかと思うレベルで異世界だかんな?

 聞いてるか、羽亀! おい!

「素で酔っ払ってるよ、この人。
 良いからほら、せっかくのチート与えたんだからそこの女子高生助けてファンタジーに突入しなよ」

 羽亀がぬいぐるみのような楕円の手で指す方には、札と日本刀を持って化け物の攻撃から避けて飛び回る女子高生。

 ちょいと距離があるので、こちらには気付いてなさそうである。

「いやいや亀さん。
 何言ってんの?
 馬鹿なの?
 あ、馬でも鹿でもなく亀か……。

 とにかく、ああいうのってプロのお仕事な訳よ?
 変に素人が近付いたら、何コイツ空気読めよ感半端なく放ってくるからね?

 メンタルがボロボロのところにトドメさせて、あまりの辛さに一気飲みで発泡酒3缶一気飲みして大泣きしながら寝るよ?

 そして朝4時ぐらいに吐き気で目覚めて吐くの。
 もう2度と飲むもんか、と思うぐらい超辛いの」

「うん、僕が悪かった。
 帰ろうか」

 そう帰ろう、ほら見てみな。
 ヒーローっぽいやる気の無さそうな男が助けに来たぞ?
 あれって、異世界帰りの勇者か何かで、苦戦してた女子高生を嘲笑うかのようにぱちゅんと化け物やっちゃうんだぞ?
 ほら、やった。

 さあ、帰ろう帰ろう。

「うん、本当に僕が悪かったから帰って寝ようね」

 ああ、そうだな。
 この8時間後にはもう会社居るんだぜ……?
 へへへ、16時間俺は何してるんだろうな。

「仕事してるんだよ」

 分かってるよ、無粋な羽亀だぜ。

 そうして帰ったボロアパートの部屋の中には、何故か乱れた前髪を垂らし、その隙間から目をギョロつかせたストーカーが居た。

「ギヒヒ、ウフフフフフフフフ……」

 そんな含み笑いをしながら、ストーカーは2階の部屋の窓から出て行った。

 昔はさ……、夢を見たこともあったよ?
 ストーカーちゃんが実は美女でそのまま彼女になってくれるとかいう妄想をさ……。

「ストーカーのステータス見れた?」

 見たよ?
 見るんじゃなかったよ……。

 職業ストーカーって。
 ストーカーって職業ないよ?
 ハローワークに行きなよ……。

「今度、勧めてみなよ……」

 うん、今度、今度ね。
 今日はもう寝るよ。

「うん、お休み」

 ……今度っていうか、あのストーカーまた来そうだよね。

「うん、来るね、きっと来る」

 もっと言えば、何処かのギャグマンガみたいにああいうお化けでも、女なら良いかなと思った時もあったけど。

 ……ちょっと無理みたい。

「うん、早く寝な」

 はい、おやすみ……。


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