「Stain Of Mind」は「カクヨムSF研2」
https://kakuyomu.jp/user_events/16817139556179031895 という企画に参加した作品です。
ただ、元々はpixivの「神々の伴侶」
https://www.pixiv.net/novel/contest/kamigami という企画に向けて書くつもりでした。これは12の月に対応する神がそれぞれ存在して、その中からひとつを選び、神に捧げられる贄(伴侶)との物語を作るという企画でした。要するに異類婚姻譚ものです。
自分もひとつは真面目な異類婚姻譚ものを書いたのですが、途中でおふざけがしたくなって、もうひとつ作品をでっちあげようと考えました。神とイチャラブじゃなくてバトルする話にしたろうと。ただ、後者のおふざけ作品は企画の期間中に書き上げられず、宙に浮いてしまいました。
ただ何となく書き上げるのを諦めきれないというか、締切がないならのびのび書いてやれ、という気持ちになって、改めて資料を読んだりしながらちょこちょこ書いていました。これが「Stain Of Mind」になります。
かいつまんで内容を説明すると、密教僧2人が仏像を使って蛇神とバトルするだけの話です。その内の弟子である泰弱は、蛇神による人身御供という風習が残る村の出身という設定で、復讐譚でもあります。生け贄を捧げるのではなく、娘に擬態した仏像を送り込んで不意打ちをかます、という感じです。
実は泰弱は当初は存在しないキャラで、話を考えていくうちに出てきました。
最初はウザい老人たちが蛇神を崇めつつ、自分達が生贄になるのは嫌なので、こっそり密教の修行をして、その力で蛇神を撃退しようとするという話でした。そこに師匠である僧も参加するのですが、戦ってるうちに仲違いして、全滅するというのが筋でした。
自分本位で感情移入が出来ないウザいキャラを意図的に出して、全員死んだら気持ち良いよね、という浅はかな考えでした。
ただ、老人が密教修行ってどうにも違和感あるなと思い、自分本位な奴なら自分じゃなくて他人を修行に行かせた方が自然じゃないかなと思い至りました。ここで泰弱が生まれます。よく考えたら彼が主人公なんですよね。
でも、話の筋自体は変わってないです。「Stain Of Mind」とは「心の汚れ」という意味で、それが原因になって、人間たちは蛇神に敗北します。皆が力を合わせて立ち向かっていたら、勝てない相手ではなかったのに、という皮肉もこめています。
自分本位な老人や師匠は殺すのに躊躇がなかったんですが、蛇神に真面目に立ち向かった泰弱を殺すのは忍びないと思ったので、生かすことにしました。ただ、生き残って幸せ、というのはおかしいので、かなり苦しめる形での生存エンドです。
仏像ロボットバトル小説は珍しい、というように評して頂いたようなんですが、別にオリジナルとかではないです。念頭にあるのは古橋秀之さんのケイオスヘキサ3部作です。特に「ブライトライツ・ホーリーランド」(電撃文庫)の冒頭、毘盧舎那と百手巨人が激突するシーンからインスパイアされています。
仏像が変形しまくる設定にしたのも、一体だけでは寂しいと思ったからです。あと蛇の天敵みたいな仏像が幾つもあったので、色々なものに変形しつつ、最終的には弱点をつく、という流れに出来ると考えました。
反省点としてはカタくて読みにくいという事ですね。気合い入れて書いたつもりですが、専門用語みたいなものも飛び交うし、少し不親切だったなと思います。
視点も統一されてない部分があるかな、と。意識したわけではないけど、神の視点みたいになってるところが何ヵ所かある気がします。多分書くのに精一杯だったからです。
ただ、泰弱というキャラに報われてほしいという想いが生まれたので、これの続編を書くつもりでいます。すぐには取りかかれないのですが、来年の1月、2月を目安に新作を出そうと考えています。