「俺も連れて行ってくれ!」
帝国も、それに言いなりになってるこの国もクソ食らえだ!帝国軍のヤツらをこの手で殺してやる!
「え?普通にお断りだけど?お前みたいな雑魚を連れて行ってなんの得があるんだよ」
「アンタ、あんだけ強いんだ、俺一人くらい——」
「足手まといにしかならないだろ?お前が死ぬのは勝手だけど、邪魔されるのは困る。せっかく助けた奴を殺したくないしな」
「何でもないする!絶対にアンタに借りは返す!俺も強くなりたいんだ!もう、大切なモノを奪われるのはごめんだ!」
「お前、武器を持ったこのあるのか?」
悔しいがこんな貧しい生活で武器を手にした事などない。
「銛くらいなら……でも、ゴブリンくらいなら追っ払った事ならある!」
「フン!そんなヤツが強くなれるとでも?無理だね。どんなに頑張っても弱い奴は死ぬまで弱いままだ。死ぬまで、奪われ踏み躙られる運命だ。諦めろ」
「そんな運命なんて誰が決めた!神か?そんなモノはクソだ!何が御使い様だ!俺はそんな運命も神も認めない!死んでも強くなってやる!」
「フハハハハッ!いいぞ小僧。神などクソか!気に入った」
「じゃあ!?」
「慌てんな。連れて行く事はできんが、強くなるようにはしてやる。その前に聞くが、本当に何でもするか?」
「本当か!何でも言ってくれ!」
「死んだ方がましだと思うほどしんどいかもしれん。それに強くなっても今の生活の方がよっぽど長生きできる。それでもいいのか?」
「奪われて、虐げられて死ぬくらいなら、俺は戦って死にたい……」
「力が欲しいか?」
「欲しい!」
「死神に命を捧げるか?ならば与えてやる」
「……いいぜ。俺のなんかでいいなら、この命、捧げてやるよ……」
ニヤりと笑った男が近づいて肩に触れてきた。
「アッ、ぁぁぁあ!」
胸が熱くなり、腕にそして身体中に力が湧いた。
分かる、今なら槍をどう使っていいかが俺の頭が理解している。
「これを持っていけ。集落の皆んなをお前が守って南村に行くんだ。その力を使ってな」
そう言って男は、俺に槍を渡しくれた。
「協商の首都に俺の仲間がいる。覚悟ができたらそこを訪ねろ。死神に言われて来たってな」
それだけ言うと男はとっとと立ち去ってしまった。
この不思議な力は一体なんだったんだ?
この右肩の紋章は?死神に与えられた力とでも言うのか?いや、命を刈り取る為の目印しか呪印なのかもな。
あの男は本当に死神だったのだろうか?
いや、本物だろうが俺には関係ない。
既に命は捧げ力を与えられたのだ。
あとは前に進むだけだ……
後の伝説の傭兵隊長「槍のタマザ」である。