@obinata_neko

海難事故に関係する描写がございます

喉元の汗が胸に伝い下りて、右か左かに流れる。まあ、おそらくはその間だろうけど。

それが何度目なのかは分からねど——。

二週間は楽しめる。三週目あたりから忘れ始める。半年後、かの女はもう、記憶から消えている――。一年後、夢で再会するまでは。

焼肉をしながらHSPであることを打ち明ける。おかまいなしにホルモンを焼きビールを飲む。

辞められたらとっくに辞めてるよ

一年じゅう雨が降り続けるこの土地の者は、太陽を見たこともなければその概念も持たない。その地に女憑物落としが訪れ、「この雨は呪われている」と一喝。雨を上がらせる儀式を執り行う。

わたしと、和解せよ。

”なぜ自分は剣道をやっている――？”　2020年夏。インターハイも部活動もなくなり、女子高生・あっこは自問――しなかった。そう、ソシャゲとアイス漬けの日々である。そんなあっこの元…

純文学で描くファンタジックガテン系小説

ひとり立ちは、するな。

操り人形――マリオネットの糸を鋏で切る。「これであんたも自由だよ。あたしも、明日の晩には――」

残業中のかの女は、若手社員の淹れるコーヒーなど欲しくなかった

出版社に勤務するわたしは、出勤前、だれもいない部屋に向かって「おかえり」という。

レポートに追われているからと、入ってはいけない日、その部屋へ入った僕が目にしたのは――。

わたしは仕事帰りに、決まって花を一輪だけ買う――。

両親ふたりを襲った病気。でも、父も母も憶えていたんですよ、大事なものが何なのかを。