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魔導少女ぷりん 第24話

 ペロスに連れられて辿り着いたのはとても大きな建物。雰囲気から言うと図書館だろうか。真宙がその大きさに呆然としていると、ペロスが立ち止まって振り返った。

「何してんだ。行くぞ」
「ここは図書館?」
「ああ、ここはこの街の中心、大魔道図書館だ」

 海外の映像で見る世界的な教会のようにも見えるその巨大建造物は、多くの人々が行き交っていてとても賑やかそうだ。真宙はゴクリとつばを飲み込むと、ペロスに続いていく。猫が入っても当然な感じの図書館の中は人間以外の生き物、動物や亜人達が渾然と入り混じっていた。

 体の大きさも様々で、10メートルクラスの巨人もいれば1メートルに満たないかわいい種族もいる。体の色も体のパーツもそれぞれで、ファンタジー作家がこの光景を見たら興奮して卒倒してしまうに違いない。

 そんな多種多様な生き物達の共通点は、みんな本が大好きだと言う事だろう。場所が図書館なのだから当然ではあるのだけれど。体の大きさに合わせたテーブルに座ってみんな熱心に本を読んでいる。
 真宙はその様子をチラチラと横目にしながら、見失わないように黒猫の背中を追い続けていた。

 ペロスは猫らしい器用さで、この広すぎる図書館内を縦横無尽に歩いていく。その行動から、どうやら図書館そのものが目的地なのではなく、図書館にある特定の場所が真の目的地のようだ。
 ただ彼を見失わない事だけに注意して歩いていた真宙は、どこをどう歩いているのかさっぱり要領を得ないまま――。

 一体どれだけ歩きまわっただろう。疲れが溜まってきた真宙が休憩を言い出そうとしたところで、目の前の黒猫がくるりと振り返る。

「着いたぞ、ここだ」
「ここ?」

 気が付くと、そこは個室のドアの前だった。図書館の中にこんな場所があったなんてと真宙は改めて周囲を見渡す。図書館の雰囲気とはガラッと違ってしまっていたため、いつの間にか別の場所に来たみたいな違和感が彼女を襲った。

「早く開けてくれ、ここは俺じゃあどうしようもない」
「あ、うん。開けるね」

 ペロスに急かされて真宙は素直にその言葉に従う。その先にあるものが何かを何も知らないまま――。

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