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七つの頃死にかけた話

 誰にも話したことはないが、七つの頃、死にかけたことがある。あの頃のことはほとんど覚えちゃいないが、その瞬間のことだけは鮮明に脳裏に刻まれている。子ども用の浅いプールに浮き輪で浮んでいた時、はしゃぎ過ぎて引っくり返った。上体が水中で、足を水上に出した状態になったのだ。浮き輪をつかんで逆さまの水中を見ていた。幼すぎてもがくこともできず、水中で泣くことも叫ぶこともできず、ああ、これで死ぬんだなと思った。煌めく水の中でただ死ぬのを待っていた。異変に気づいた大人に助けられたのだが、その時、死というものを知ったのだ。あの時死んでいたら、今の私の人生はない。あの時以降の人生は、神様からのプレゼントなのだろうか。今の私は水を怖がるどころか、川や海に魅せられている。

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