「そういえば、クトゥちゃんのステータスってどんな感じなの?」
溜まり場で明日の試験に向け、必死に英語と格闘していると、華子ちゃんにそんな話題を振られた。
「ステータス?」
ステータスなんてあっただろうか?
英文から離れたいという欲望に負け、タンマツを取り出す。軽く操作して色々と調べてみるが……ステータスなんて項目は見当たらない。
「ステータス……?」
「あ、入れてないんだ」
「入れる?」
華子ちゃんがタンマツを取り出し、パパッと操作して、空中に画面を浮かべる。
「ほら、これ」
「えーっと……?」
赤城クトゥグァ
HP 91
攻撃 134
防御 95
特攻 100
特防 100
素早さ 80
「カイリューじゃん!」
「ちがうから!」
「いや、カイリューじゃんこれ!」
「だからちがうから!」
いや、この数字は間違いなくカイリューだ。600族だ。
そっか、トガちゃんはカイリューだったのか。
「いや、ていうかこれなに?」
「ステータスアプリ」
ステータスアプリ……?
「ライバーのステータスは公式には数値化されていませんが、やはり人は数字が気になるものですからね」
ぬるりと撫子が現れた。
いや、だからなんでそういう登場の仕方するかな?
「撫子も入れてるの?」
「それはもちろん」
うん。これはそういう流れなのだろう。
「……じゃあ、見せて」
「はいはい」
黒木ニャルラトホテプ
ALI LAW
LV 53
HP 750
MP 161
CP 113
継承 火炎
攻撃 144
命中 96
防御 132
回避 95
魔法威力 16
魔法効果 15
「そっちのニャルラトホテプかよ!」
「どうかしましたか?」
「女神転生2の邪神ニャルラトホテプのステータスでしょ、これは!」
「おお、すごい」
「なにがすごいのよ!?」
むしろ、なんでこんなネタを仕込んでいるのだ。
こいつら、タンマツをなんだと思っているんだ。
「ていうか、ステータスの項目からして違うじゃん!」
「それはそうですよ」
「え?」
「さっきも言いましたが、ライバーのステータスは公式には数値化されていません。そのため、色々な会社がこぞって作っているんですよ。ステータスアプリを」
「もう、占いとか診断サイトみたいな感じで色々あるよね」
トガちゃんが楽しそうに頷く。
「ええ。しかも、タンマツの内部データを解析するための権限がありませんから、だいたいこんなお遊びみたいなステータスアプリばかりになります」
「信憑性ないじゃない!?」
「ありませんよ?」
「何の役に立つの?」
「配信で使うと盛り上がります」
「……なるほど」
そういう使い方か。
たしかに、私もついツッコんでしまった。いや、こいつらが用意しているネタがずるいのだが。
「それで、どうします? ステータスアプリ、使ってみます?」
「えー……」
「配信で『ステータスオープン!』とか叫んでみません?」
「え、いやよ。すごくダサいし……」
「そっか、ダサいか……」
いつの間にか、カレー屋さんがいた。
「あ、その……」
なんだろう。
ものすごく気まずい。
「カレー屋さんは、配信で堂々と『ステータスオープン!』と叫んだことがあるんですよ」
撫子が、にこやかに補足してくれた。
うわぁ……。
「いや、いいんだよ。うん。なんか変な空気になったしさ。うん」
あー、うん……。
なんも言えんわ。