皆さんは、歴史上の偉人についてどれほど知っているでしょうか。
博識な方もいれば、そうでない方もいるでしょう。しかし、王や貴族ではなく、数々の戦いを生き抜き、あるいは命を落とした人々の名をどれほど知っているでしょうか。
名だたる英雄ですら、時代の流れの中で歴史に埋もれていきます。
もし、そのような人々がファンタジーの世界にいたとしたら――。
そう思い立ち、私は『アイアン&ブラット』を書き始めました。
本作に登場する隊長や少女、老騎士たちは、意図的に固有名を持っていません。
名無しの人々が紡いだ物語が神話となり、後世の人々によって名前を与えられ、まるで最初から英雄であったかのように語られていく。
私は、その英雄譚の原点を描きたいのです。