所属する楽団、指導に行っている学校で、この春、卒業する若者たちが多数います。 進学・就職… それぞれに向かう所は違いますが、学び舎を巣立つ事は同じ。
その中で、創作好きな数人に、拙作『 4429F 』の第17話、終局の封印から引用した、散文詩のような一文を送りました。
まだまだ、将来の『 夢 』などは、本人たちにとって泡沫の想いかもしれません。
でもいつか、ふと思い出して頂ければ… 幸いだなと思います。
大きな夢。 小さな夢……
人は皆、夢を見て成長する。
しかし、あらゆる夢を具現化し、未来を自由に書き換えられるような、
全ての倫理をも超越した『 大いなる力 』を手にした時……
人は、人でなくなる。
……そう。
夢を実現させようと目的を持ち、己自身の力で邁進しつつ、
努力する姿こそ、美しいのだ。
勘違いしてはいけない。 夢は、叶える為にあるのではなく、
見る為にあるのである。
勿論、夢が叶えられたら、それは素晴らしい事だろう。
だが、想い描く夢を完璧に実現し、寸分違わないカタチに出来る者は
おそらく、ごく限られた少数だ。
しかし、想い返して欲しい。
夢や希望に向かって突き進んだ日々は、その人にとって掛け替えのない
日々では無かったか?
努力した結果に得たものは、想い描いていた夢よりも、
遥かに秀逸なモノだった、と言う結果にならなかったか……?
夢とは違う『 カタチ 』を得た。
夢とは違う、良質な知識を得た。
努力する過程で、尊敬出来るヒトに巡り合った。
未来を共に謳歌出来る、最愛の人に出逢った……
価値観は、人それぞれだ。
想い描く夢に、到達出来なかった現実を嘆く者もいる事だろう。
それはそれで、自分を悔いるがいい。
大切なのは、夢に向かう事、叶える為の行動を起こす事、それ以前に
自身の未来を見据える事だ。
それは、個々の人生の謳歌へとつながる事だろう……
夢に向かって歩む日々の努力は、夢を叶える以前に、
『 人 』として生きる為の、大切なファクターである事を忘れてはならない。
夢に向かう事… それこそが、人の姿である。
夢を持つという事… それこそが、人間の証明である。