こんばんは。
書籍の方の状況が悪いらしいので、改めてもう一度くらい宣伝しておきます!
それと、SSも最後に加えておきます! 今回は一気に掲載しておきますので、興味のある方は読んでくださいませ!
ところで皆様、浅井ラボ様の『されど罪人は竜と踊る』(され竜と略されるとか)という作品をご存知でしょうか?
もはや二十年くらい前の作品ですが、かなりダークな内容が含まれるライトノベルでして、『不死の魔女〜』はその影響を受けております。
ファンタジー小説を書けるようになりたいなぁ、と思いつつ何度か作品を書き、あまりしっくりこないなぁ、人気も出ないなぁ、となっていたとき、され竜みたいなファンタジーでも書いてみよう、と思い立ちました。
それが想像していたより人気が出まして、さらにカクヨムコンで特別賞を取りました。
書籍はあまり売れていなくとも、ひとまず書籍化まではいけましたので、され竜には感謝です。
ダークファンタジー系に適性があるならそっち方面で積極的に書いてもいいかも、と思っていましたが、不死の魔女の方向性で書籍を売るのはなかなか難しいようですね……。
まぁ、ダークファンタジー系だからダメという単純な話でもないかもしれません。
なにはともあれ、不死の魔女の紙の書籍が手に入るのは、おそらく今だけです。数年後には手に入らなくなる可能性が高いです。
不死の魔女を気に入っていただけた方の元に、書籍が届くことを願います。
何かの奇跡でもう少し売れて、続刊することも願っております。
よろしくお願い致します。
・書籍情報
『不死の魔女は万の命を犠牲にしてもありきたりな願いを叶えたい。』
発売日:R7年5月2日(金)
価格:1,540円
■ゲーマーズ様
https://www.gamers.co.jp/pn/pd/10788450/■メロンブックス様
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2904890■Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4040759273■楽天ブックス
https://books.rakuten.co.jp/rb/18180528/■KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/322501000521/ISBN:9784040759272
以下、SS。(一万の軍勢と戦った後の話。リピア視点)
★ ★ ★
平穏な生活は尊いものだけれど、平穏なだけの生活には退屈してしまう。
リピアにもそういう感覚はあって、だからこそ、平穏な無眼族な村を抜け出し、暗闇のダンジョンを訪れることがあった。
ダンジョンに入ることにも、ダンジョン周辺に赴くことにも危険が伴うことはわかっていた。でも、そのちょっとした危険が、余計に魅力的だった。
その結果として一度ダンジョンで死にかけ、ダンジョン外では実際に死んでしまったのだから、客観的にはとても愚かな子供なのだろう。
でも、愚かだとしても、命の危険を知る前の自分なら、やっぱり退屈な村を抜け出して、自ら危険な場所に飛び込んでしまうのだ。
退屈は、時に人の心を殺してしまう。退屈に耐えられない者は、確かにいる。
とはいえ、リピアはあまりにも危険すぎることをしたいとは思っていない。都合の良いちょっとしたスリルを味わいたいという程度のものだった。
それが……今では、もはや世界を相手に戦うような立ち位置にいる。
どうしてこんなことに……と思い悩むこともあるけれど、他の生き方を選べるわけでもない。
ユーライと共に生きていくしか、道はない。
それも、悪くないような気はしている。
アンデッド化の影響もあるのだろうけれど、ユーライの隣は心地好く、そして、他では決して経験できない刺激も味わえる。
それはさておき、あの大規模な戦いの後、ユーライが目を覚ます前のこと。
「ねぇ、リピアってさ、ユーライとどういう関係になってるの?」
朝食の後、リピアはラグヴェラとジーヴィと共に食器の片付けをしていた。
その際、ラグヴェラが好奇心を隠さず、リピアに尋ねてきた。
どういう意味で訊いているのかは察していたが、若干とぼけながら答える。
「うーん、仲間って言いたいところだけど、実のところ堂々と仲間っていえる立場じゃないんだよね……。あちし、やっぱり弱すぎるし……。まだ従者に近いのかな……」
「そういうことじゃなくて! もう、キスとかしてるの?」
尋ねてきたラグヴェラだけではなく、ジーヴィも興味津々の様子。
三人とも、まだこういう話の好きな女の子なのだ。
「……キスとかはしてないし、別にそういうことをしたいわけでもなくて……」
「違うの? 暇さえあればユーライにべったりじゃん」
「そうそう。クレアさんともパチパチしてるし。てっきり、リピアはもうユーライの側室的な立場になったのかと……」
「え? なんで側室? 正妻じゃないの?」
リピアの言葉に、ラグヴェラとジーヴィがケラケラと笑う。
「リピア、やっぱりユーライのこと、好きじゃん」
「恋する乙女だね!」
「こ、恋、ではなくて……あちしはただ、ユーライの隣にいたいなぁって思うし、ユーライに触れてるのが心地好いってだけで……」
「そういうのを恋っていうんじゃないの?」
「もはや愛かな?」
「違うってば! そういうのじゃなくて……尊い存在に惹かれる感じというか……」
リピアのユーライに対する感情を、アンデッドにされていない二人に伝えるのは難しい。
恋という言葉で片付けられるものではないのだ。
もしかしたら崇拝に近いのかもしれないが、かといってユーライを神と崇めて全てを捧げようというわけでもない。
きっと、愛してはいる。でも、これは恋愛としての愛ではない。
自分にとって大切で、愛しい存在。いつも側にいたいし、いつも触れていたくなる。
「じゃあ、ユーライから迫られたら、拒絶するの?」
「キスされたら嫌?」
「……それは、嫌じゃないし、むしろ嬉しいかも」
「やっぱり恋か」
「恋だねぇ」
「むぅ……」
この気持ちは、クレアなら理解してくれるだろう。自分と同じくらい、ユーライに惹かれてしまうクレアなら。
「あちしはいいと思うよ? 相手は女の子でも、好きになったら好きでしょ」
「うんうん。ユーライ、あんまり女の子って感じでもなくて、中性的なかっこよさがあるもんね」
「……ユーライは優しいし、かっこいいよ」
もっと女性的で、美しさだとか異性へのアピールだとかに関心を持つ人だったなら、リピアのユーライに対する感情もまた変わっていたかもしれない。女友達という感覚の方が強くなっていたのかもしれない。
実際のユーライは、男性とも女性ともつかない、中性的な性格をしている。だからこそ、今のような微妙な関係になっている。
「クレアさんも素敵な人だけど、リピアもちゃんといいところあるから、押せばユーライも落とせるよ!」
「リピアには、クレアさんにはない優しさとか純情さとかがあるから!」
「……そんなこと言われなくても、クレアに負けるつもりはないよ」
ラグヴェラとジーヴィがケラケラと笑う。
(全く、他に面白い話題もないからって、あちしをネタに楽しむなんて酷い。……まぁ、これが平穏ってことだよね)
リピアは軽く溜め息。
そして、少し空気を悪くすると知りつつ、尋ねる。
「あちしのことよりさぁ……二人は、ユーライのこと、どう思う? つい最近……たくさん、人を殺しちゃったんだけど」
あの戦いで何が起きたのか、二人は知っている。けれど、このことをしっかり話し合ったことはない。
重い話になるから、避けていた。
少し悩み、まずはラグヴェラが口を開く。
「……戦争をしてたんでしょ。そこで誰が誰を殺したとか、考えてもしょうがない気がする。本人がそうしたかったんじゃなくて、そうするしかなかったんだから」
そして、ジーヴィが続く。
「あちしだって、誰かに里を襲われたら、そいつと戦う。場合によっては殺しもする。そこで、殺人がどうとか、罪がどうとか言われても困る。戦争を仕掛けられたから、ユーライは仕方なく戦って、人を殺した。それについて、ユーライは酷いとか言うつもりはない」
二人の言葉に、リピアは少し安心する。でも、もう一つ、問いかける。
「……けど、あちしとクレアのために、余計にたくさん、人を殺しちゃったよ? それでも、いいの?」
「それも、結局は戦争中の話でしょ? 道徳も倫理も正義もあやふやな中で、ユーライは自分の大切な人を取り返すために人を殺した……。今回のは明らかに戦争仕掛けてきた方が悪いんだし、やっぱりユーライを責めることなんてできないよ……」
「それに、ユーライがそうしなかったら、リピアはここにいないんでしょ? それは嫌だよ。犠牲になった人には申し訳ないけど、見知らぬ他人より、大切な友達に生きていてほしい……」
ラグヴェラもジーヴィも、自分の中に消化しきれないものは残っているのか、悩ましげではある。
でも、ユーライが悪だとは、認識していないようだ。
「……二人にそう言ってもらえて良かった」
それから、声を強いて明るくして、ラグヴェラが言う。
「ま、一緒に暮らしてれば、ユーライの中身が普通の人だってのはわかるよ。危険な力は持ってるけど、悪いことを企んでるわけじゃない。あちしも、ユーライのことは結構好きだよ。……どちらかというと、ギルカさんの方が好きだけど」
「まぁ、あちしもギルカさんが一番かな。しっかりした大人の雰囲気があるし、部下思いでもあるし」
「……そう。ギルカさん、人気だね」
二人の話が、ギルカのことの移っていく。
神妙な雰囲気も消えて、ただ明るくなる。
(……こんな感じで、ずっといられたらいいな)
食器の片付けが終わっても、三人のおしゃべりはいつまでも続いた。