成瀬なる

「交換日記をしてください」 もうバスなんて走っていない深夜、帰り道の古いバス停に、いつもいる彼女へ、唐突に告げた。 目を丸くして、驚きながら彼女は、大きく首を縦に振った。綺麗な黒…

煙草の銘柄、よく聴く曲、好きな漫画、感傷的になる路地……全部が、君の影響だ。

好きだから吐く。嫌いだから飲み込むんだ。

夏の終わりを悲観的に語りたいだけの短編

紫陽花のように誇らしくなくて、一等星のようには胸を張れない物語。

その日は、一等星が輝いていた。

たった一人で世界平和を望んでいた僕は、見苦しくも惰性で社会に隠れている。

嫌われる黒猫、嫌われる魔女、嫌われる化け物、嫌われる者たちに焦点を当てた、短編集です。 不定期に更新していこうかなと思います。

ある冬の日の夜に、私が迷い込んだ場所は――バケツの中の魔女の島だった。 カエルがパーカーを着て、キツネが骨董屋を営み、シャム猫がマーマレードを作る魔法の世界で、私は<必要な物>を…

高校の屋上から飛び降りようとした時、死神と名乗る少女から「生きる目的を見つけてください」と自殺を止められた。 彼女が言うには、なんでも可能な理想の世界で三日間過ごし、『生きる目的…

午後五時、一人の女子高生の死体が、美術室に転がっていた。 犯人候補は<ウサギ>、<カエル>、<トリ>――そして、エンターテイナーであり続ける<キツネ>の四匹の生き物だ。 さぁ、残…

或る夏の日、僕は、死ぬことを決意した。でも、ムカつくほど無邪気な幽霊が、嫌味みたいにそれの邪魔をする。 「金縛りだぞぉ～」 今日も、つまらない夜が明けようとしていた。

カクヨム甲子園ショートストーリー部門応募中の【雨の日と透けたブラウス】の続編になります。最初に【https://kakuyomu.jp/works/117735405488346…

【注意】 「竜の見ていた世界」と「兵士の見ていた世界」は同じストーリーです。ですが、どちらもグレアと竜の各視点(一人称)で描いています。 「竜の見ていた世界」を読んだうえで「兵士…

　文化祭の暖色のような騒がしさが嫌で、何も言わずサボってしまった。たった一日、何も言わずに学校をサボることが、僕にとってどれだけ不都合であるのかは十分に分かっていた。 　だけど、…

僕は弱い。どんなにやりたくないことだとしても、自分が悪くない時でも、誰かが泣いていたとしても、僕は、笑顔で「大丈夫だよ」と答えることしかできない。 昔から体が弱いのが原因なのかも…

【全11話 投稿済み】 海沿いのとある小さな街を舞台に、夏休みの思い出作りでとある噂を追いかけることになる。だが、主人公<ソウタ>には、誰にも言えない罪を抱えていた。 彼が、噂を…

これは、世界が終わる5分前の物語―― 彼女は言った。 あの日は、3時間目の授業をサボっている午前11時くらいだった気がする。 冗談を言うみたいに笑みを交えながら言ったのだ。 「…

８月３１日――陽炎が立ち、蝉の声がわんわんと聞こえる噎せ返るような夏、私は、１人の男の子に一目惚れした。 これは、私の最初で最後の或る夏の微炭酸のように爽やかで、喉をスカッと刺激…

遠い昔、人間が魔物を従え、人間が魔物の上に立っていた時代があったそうだ。 だが、それは、ある者によって破壊される。 世界の破壊を望み、人類の滅亡を望んだ、最低にして最悪な王――魔…

　人を信用せず、唯一の理解者である両親から関心すら寄せられず、心の中を見せない少年<加賀谷　なつき>。 　彼が、転校してきたド田舎にある高校。目に映る教師、生徒はみんな『うざった…