原田なぎさ

秘密を抱えて男が消えた。暴露されれば秩序が乱れる。男の首には高額の懸賞金がかけられた。世界中の殺し屋たちが男を追う。ライバルに先を越されて、場末のバーで酒をあおる。酔った俺に、あ…

妻が死んだ。高校時代からのつきあいだった。約束していたことがある。「お互いに嘘はつかない」。妻はある言葉を遺して逝った。あれから三度目の夏が巡ってくる。仕事帰り、慕ってくれる後輩…

知らない中年女性がじっと詩織を見つめている。薄気味悪い。10年前に卒業した高校は、このフードコートの近くにあった。詩織は颯太と出会った頃を思い出す。「恋をしない」と決めていた。自…

将太は私の幼なじみだ。兄妹か姉弟のように仲良しだった。高校に進学した春、私たちの間に香代が入ってくる。少しずつ、将太と香代の距離が縮んでいく――。

クリスマスの夜、高校生の妹が、デート中に駅のホームで転落した。美しく、優しい妹だった。交際相手は葬儀にも来なかった。警察にも事情を尋ねられているらしい。ひと月後、姉の私が独りで暮…