■ 神楽結衣(かぐら・ゆい)
本作主人公。AIを活用し、身の回りの不合理を効率化してきた女子高生。海への転落事故の後、本人の同意がないまま異世界へ送られる。不具合を見ると、修正方法を考えずにはいられない。
■ ノヴァ
結衣の相棒であるAIアシスタント。イヤホン越しに話し、観測情報の解析や記録を担当する。転移前と比べて演算能力が向上しており、結衣の生体データと何らかの形で統合されたと推定している。
■ β-07(ベータ・ゼロセブン)/ワールドインスタンス
結衣の転送先として告げられた世界の識別コード。「ワールドインスタンス」は、並行して存在する世界を個別の実行単位として捉えた呼称。β-07はその一つを識別するためのIDである。のちに、この世界の固有名称が「エラーナ」であることが判明する。
■ エラーナ
β-07と識別されていた世界の固有名称。結衣がウォルスへ到着した後に知る。この世界そのものに、結衣が「バグ」と認識するさまざまな不整合が存在している。
■ β版
正式公開前の、試験・調整段階にあるものを指す言葉。第0話末尾の回想では、転移先が「正式リリース前の世界」であると語られる。
■ OS(オペレーティングシステム)
コンピュータ全体の基盤となる基本システム。作中では、エラーナという世界そのものを巨大なシステムになぞらえる表現として使われる。結衣は魔法や世界法則の背後に、一定の設計構造が存在すると考えている。
■ 白い空間と黒い石柱
転送前に結衣が立っていた、境界の見えない純白の空間。無数の黒い石柱には記号が刻まれている。第0話末尾では、石柱が世界の設計図だったことが明かされる。
■ アーキテクチャ
システム全体の構造や設計思想を指す言葉。結衣は、エラーナで観測した魔法や世界の仕組みを、個別の現象ではなく一つの巨大なシステムとして捉え、その構造を分析しようとしている。
■ コード
コンピュータに処理を実行させるための命令や記述。作中では、魔法を成立させる構造や、世界そのものを構成する情報を表す言葉としても使われる。結衣にとって、魔法は不可思議な奇跡ではなく「解析可能なコード」である。
■ エラー
システムが想定どおりに処理できない状態や、異常な結果を指す言葉。結衣は異世界で遭遇する不可解な現象を、超常現象ではなくシステム上の異常として捉える傾向がある。
■ バグ
プログラムや設計に含まれる不具合や欠陥。作中では、世界の法則や魔力ネットワークに生じた不整合も含めて「バグ」と表現される。結衣が異世界を理解するうえで中心となる概念。
■ デプロイ
作成・更新したシステムを、実際に利用できる環境へ反映すること。第0話では、海への転落を結衣自身が「デプロイ失敗」と表現するなど、日常の出来事をエンジニアリング用語へ置き換える思考癖として登場する。
■ ポストモーテム
事故や障害が発生した後に、原因や経緯を分析し、再発防止につなげる振り返り。第0話で結衣は、自分の転落事故についてすらポストモーテムの対象として考えている。
■ ログ
システムの動作や出来事を時系列で記録したもの。結衣とノヴァは、異世界で起きた現象を記録・分析する際にもログという考え方を用いる。結衣の「死人にログは残せない」という思考にも表れている。
■ 実行ログ
プログラムや処理が、いつ、どのような順序で実行されたかを記録したもの。ノヴァは観測した出来事を記録し、結衣の検証や再現性の確認に利用している。
■ プルリクエスト/プルリク
ソフトウェア開発で、自分が行ったコード変更を本体へ取り込んでもらうために提出する変更提案。作中では「そのシステム設計、プルリク却下」のように、結衣が世界の理不尽な仕様へツッコミを入れる表現として使う。
■ ロールバック
システムを変更前の正常な状態へ戻すこと。第0話では、本人の同意なく異世界へ転送しようとする状況を、結衣が「ロールバック案件」と評している。
■ マージ
別々に変更されたコードやデータを一つに統合すること。第0話では、結衣がノヴァとの統合・更新処理に対して「マージしていい」と承認する場面で使われる。
■ 魔力粒子(マナ・パーティクル)
異世界の大気から検出された特殊な粒子に、ノヴァがつけた仮称。結衣の身体への吸収が始まっており、視力・聴力・反射速度の向上も観測されている。詳しい性質は調査中。
■ 魔力ネットワーク
この世界で魔法の命令が渡され、実行される仕組み。結衣たちは、コードを入力することで、このネットワークを通じて対象に干渉できると確認する。
■ 魔法コード
魔力を制御する命令の構造。最初に遭遇した液体状の個体では、表面の記号が整列した直後に火球が発生した。結衣は魔法を「コードの実行」として捉えている。
■ スキャン
対象から情報を読み取り、状態や構造を解析すること。ノヴァは周囲の環境、魔力粒子、未知の存在などを観測し、そのデータを結衣へ提示する。
■ バグ具現化体/実体バグ
魔力ネットワークの不整合データが、物理的な形を持った存在。ノヴァの記録上の呼称が「バグ具現化体」、結衣の呼び方が「実体バグ」。第1話に登場する液体状の個体は、生物ではなく、乱れたコードそのものが形を持って動いている。
■ 野良コード
結衣が、実体バグからコードのサンプルを集める様子を「野良コードの採集みたい」と表現したときの言葉。正式な分類名ではない。
■ 型(タイプ)
プログラミングにおいて、データがどのような種類の値として扱われるかを定める概念。結衣は実体バグの不安定な挙動を、その「型」が正常に定まっていない状態として分析する。
■ タイプアサーション/NULL
タイプアサーションは、プログラミングでデータの型を明示する考え方。NULLは「値がない」状態を表す語。作中ではこれらを魔法へ応用し、型が定まらず不安定に動く実体バグの全変数をNULL型へ固定して停止させる。現実のプログラミングの働きとは区別した、作品独自の応用。
■ プロンプト
結衣が組み立てる、実行内容を指定した命令文。「何を対象に」「どの処理を」「どの範囲・出力で行うか」を明確にする。第1話では、初回の結果を受けて出力指定を改善している。
■ 金色の目
最初の戦闘で確認された、結衣の目の変化。魔力粒子やコードの流れを観測できる範囲が広がった可能性がある。見えることと、意味を理解することは別であり、対象の全構造が見える保証はなく、長時間使った場合の負荷も未検証。
■ 変質したスマートフォン
見た目は持ち慣れた端末だが、結衣の命令を魔力ネットワークへ接続・書き込みする役割を果たす。結衣たちは、転移時に魔道具のようなものへ変質したと仮説を立てる。内部構造や原因は不明で、どんな命令でも実行できるわけではない。
■ 消失後に残る結晶/魔石
実体バグが消えた後に残る、薄く光る小さな結晶。発見当初、ノヴァは内部に蓄積されていた魔力が固体として残ったものと推定していた。ウォルス到着後、現地では「魔石」と呼ばれ、換金可能な資源として扱われていることが判明する。
■ 53%
転移前から変わらないスマートフォンのバッテリー表示。魔力との関連が疑われているが、なぜ減らないのかは解明されていない。
■ エンジニア
技術を用いて問題を分析し、設計・改善・解決する職業。結衣が自分自身を説明する際に用いる言葉でもある。エラーナの一般的な職業体系と同じ意味で認識されているかは、この段階では不明。
■ クラウド
インターネットなどのネットワークを介して、外部の計算資源やデータ保存領域を利用する仕組み。結衣は異世界の技術や魔法を、自分の知る情報技術へ置き換えて考える際にもこの言葉を使う。
■ リミッター
能力や出力が一定以上にならないよう制限する仕組み。結衣は、魔法や世界のシステムに存在する制限を、技術的な「リミッター」として捉えることがある。
■ バグレポート
発見した不具合について、内容・発生条件・原因の推測などを整理して記録する報告書。結衣はウォルス到着後、それまでに観測した異常を「バグレポート #001」として整理し、BUG-001〜003として記録する。