カクヨムコンが始まって1ヶ月以上経ちますけど、ふと気づきました。
そう言えば最近、小説を書いてないなあって。
既に書き上げた作品の手直しならしているのですが、完全新規の文章は11月後半くらいから書いていませんでした。
これはまずいです。下手をすると書き方を忘れているかもしれない。
と言うわけで、久しぶりに小説を書いてみました。と言っても、『アオハル・スノーガール』のショートショートですけど。
時間軸はエピローグ前になるので、若干のネタバレが入っています。
また、見直しをしないで書いてそのまま投稿したので、いつも以上に誤字が多いかもしれません。
30分くらいで書いた短いお話ですけど、読んでもらえたら嬉しいです。
◇◆◇◆
ある日の放課後、郷土研の三人が部室に集まっていた時のこと。
白塚先輩が、不意にこんな事を言ってきた。
「そういえば千冬ちゃんは、今まで彼氏とかいたことあるのかい?」
「ふえっ!? か、彼氏ですか? そんなのいませんよ。私、全然可愛くありませんもの」
「そんなことはない。自分で気づいていないだけで、君は十分可愛くて魅力的だ。一緒にいると、ドキドキしてしまうくらいに……」
「やめろ部長。綾瀬が困ってる」
私を壁に追い詰めて、顎に手を伸ばしてきてながら、吸い込まれそうな瞳で見つめてくる白塚先輩を、岡留くんが慌てて止めてくれる。
は、恥ずかしかったー。ドキドキさせてるのは先輩の方ですよー。
「わ、私なんて本当に大したことありませんから。それより二人はどうなんですか? 誰かとつきあったり、告白されたりしたことはないんですか?」
「ああ、そういえば岡留くん、入学してすぐに女子から告白を受けていたね」
「ええっ!?」
自分で聞いたくせに、ビックリして声をあげてしまった。だけど岡留くんはうんざりしたように答える。
「あれはガチのやつじゃなくて、誰でもいいから彼氏がほしかっただけのやつだろ。ノーカンだ」
それって、前に私が杉本さんに誘われたように、アクセサリー感覚で彼氏がほしかったってことかな?
他人のすることに口出しはしたくないけど、ちょっと面白くないなあ。
「本気じゃないのが見え見えだったから、その場で断ったよ。俺と付き合う気なら妖怪の名前百個は言えるようになってくれって言ったら、すぐに去って行った」
「そ、そんな事を言ったんですか?」
それは相手の子も引くだろう。岡留くんは、格好いいのに女子人気が高いわけじゃないけど、もしかしてそれが原因なのかもしれない。
「妖怪の名前百個か。そういえば私も中学の時に、同じ断り方をしたことがあるけど……」
「先輩もですか!?」
「ああ。だけどその子、血走った目をしながら、『明日までに千覚えてきます!』なんて言って。どう見ても本気だったから、慌てて止めたよ。本当は誰とも付き合う気がなかったのに、そんな雑な課題なんて出すのは失礼だからね。あの時の私は、愚かだった」
遠い目をする白塚先輩。確かに真剣に告白してきた人を、そんな風に扱うのは良くないかも。
「その後は誠意を持って、誰とも付き合えない事を伝えたよ。女の子は好きだけど、軽い気持ちで付き合って良いものじゃないからね」
「そうですね……って、告白してきたのって女子だったんですか!? 男子じゃなくて!?」
思わず声をあげたけど、白塚先輩は、それに岡留くんも、キョトンとした顔をする。
「ああ、そういえば部長、男から告白される可能性もあったんだっけ」
「私もすっかり失念していた。告白なんて、女子からされるのが普通だからねえ」
いやいや、先輩だって女子なんですから、普通告白されるとしたら男子からですって。
……と思うのだけど。顎に手を置いて「むう」と考えるような仕草をとる白塚先輩は格好よくて、これなら女子が好きになっちゃうのも十分納得できるかも。
正直私も見ていて、ちょっとドキドキしちゃうし。
「……綾瀬、何を考えてるんだ?」
「えっ!? な、何でもないです」
「……部長に見とれていただろ。綾瀬は、俺だけを見ててくれ」
「は、はい! そうします!」
お願いする岡留くんと、背筋をピンと伸ばして宣言する私。
一方白塚先輩はそんな私達を見て笑っている。
「ふふ、仲が良くて、なんだか妬けちゃうね」
完