作 者:ドラドラ様
タイトル:処刑されかけた領主の長男、ネクロマンシーで上書き蘇生する~生と死と愛を選び、辺境で生き延びる~
作 品:https://kakuyomu.jp/works/822139841615865846
面白そうなのに、気持ちが追いつかないってのが正直な感想だな。
世界観はかなり理解しやすい。 スキルが1つ授けられるってとことか、ネクロマンシー能力が敬遠される理由に国家レベルの因縁がある。設定にも興味を引かれたし、この先どうなるのだろうと思う場面はかなりある。
ただ、第一章を読んでいる間、作品から「この主人公に共感してほしい」という気持ちは伝わってくるのに、読んでいて感情が追い付かなかった。
俺自身、追放ものというジャンルをあまり読んでいない。そのため、ジャンルの定石としてどうなのかではなく、あくまで一読者としてどう受け取ったかという感想になる。
第一章の前半から、授かったスキルを呪いとまで言われ、今まで家族として過ごしてきた人達に迫害される。
ただ儀礼に従っただけなのに理不尽な扱いを受け、本人が善良な性格なのに理解されない。そこから、新天地で価値を認められていく、というのが一章で描きたいことだというのは分かった。
しかし実際読んで思ったことは、 父親の経歴を踏まえると、判断にも一定の合理性がある。
処刑シーンでは主人公自身のネクロマンシー能力を使った際に、アンデッド全体の傾向なのかは分からないが、危険性を十分に証明してしまい、少なくとも周囲が警戒したり恐れたりする理由まで理解できてしまった、という印象の方が大きかったな。
そのため、「理不尽に追放された主人公」
として見るより、「父親と揉めて、処刑されかけて家出した主人公」みたいに見えた。
あと、人間関係が唐突に進んじまうところも気になった。
作中時間としては一年あり、二人が関係を築くには十分な長さだと思う。
ただ、読者である俺にとっては、その一年の長さそのものより、二人の関係が変化していく過程をどれだけ経験できたかの方が大きい。
「すでに出会っている」「これだけの年月が経過している」といった説明があった後、周囲の人間から評価されたり、特定の人物との関係が進んだりする。
そして、その評価や関係性を足掛かりに、芋づる式に重要な役割や信頼まで与えられていくところがある。
そのため、登場人物同士では関係が進んでいるのに、読者の中ではその二人の関係が育っていない状態のまま次の話に連れていかれる。
例えば主人公のプロポーズのシーンだ。
確かにネクロマンシーを授かってから、受け入れてくれたのは彼女だけだというのは分かるし、親密になる理由もわかる。
ただ、俺には二人の関係が「結婚したい相手」まで進んだと実感できる描写が十分にない中で、主人公が処刑されかけ、メイドも一度命を落とした直後に急に「プロポーズ」まで進む。
そこで「ちょっと待て」と突っ込んでしまった。
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俺はやっぱりネクロマンシーを使用し、村を興して、建国していくっていう題材は面白いし、主人公の分け隔てない優しさのおかげで、救われる心や魂があるというところは題材として面白いと思ったし、味があると思った。
一つ一つの設定や展開には 「ここ面白いな」と思う部分が多くて見ごたえもあった。
ただ、第一章を読み終わった段階で「この世界の続きを知りたい」は残った。
でも、それを見るためにこの主人公と一緒に歩き続けたいかと聞かれると、そこで「まあ……いいかな」となってしまった。