バックホーンの『桜雪』の話。
北国だからって雪が降る訳でも無いし、桜が咲いた後に雪が降らないとも限らない。だから、偶に雪が降れば喜んで駆け回ってしまう。それに、雪が降る日は何となく暖かい。雲で放射冷却がとか、雪で照り返しがとかあるんだろうけど、実際どうか何て知らないし、暖かく感じるんだからどうでも良い話だ。それに、折角雪が降ったんだから、誰かの足跡が付く前に、一番乗りで歩いてやらないと。まぁ、こんなに雪が降れば出歩く人も無いし、怒られたり補導されたりもしないでしょ。
雪月花って言葉があるけど、花が咲くには梅でもまだ早いし、月がでるには雲が有り過ぎる。まさに、月に叢雲、花に風?花は無いから風は関係無いけど。それでも、街灯に照らされて光る雪はソコソコ美しいものである。何というか、光が降って来てるといったら言い過ぎかな。
私が深夜に徘徊する不良娘なのは、別に今日に限った話じゃ無い。別段、酒もタバコも男もいやしないけど、街中とか学校とか、普段人が居る様な場所に、人が全く居ない光景を見るのが好き何である。まぁ、海だったり墓場だったりにも偶に行くけど。言って見れば、フレッシュな廃墟?それが好みではある。ただ、こんな特別な日には、何となく躁鬱も激しくなりそうではある。山に登ったら降りるしかないし、海に行ったら飛び込むかもしれない。ほら、余りに綺麗過ぎて飛び込む見たいな?
勇んで家を飛び出したは良いけど、余りに突発的だったから、ケータイ位しか携帯してなかった。これじゃ寒くなってもコーヒー一つ買えやしない。だからって、帰るのは尺である。まだ満喫には程遠い。これは、誰か適当に呼び出して奢って貰う他ない。そんな、何時にも無い考えが飛び出したのは、こんな雪の夜に、目立つものが自販機位しかないからだ。地味な街並みの中で、他に目立つものといえば郵便ポスト位かな。まぁ、こんなに雪が降ったんじゃ、郵便屋さんは大変だろうけど。