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『8月の秘密』を打ち明けられるほど僕は君を知らない

バックホーンの『8月の秘密』の話。
子供の頃に、なんでこんなことを秘密にしてたんだっけって思う様な、大人になったら何気ない出来事って絶対にあると思う。
そんな何気ない秘密を共有した相手が、一夏しかいなかったらということなんだと思う。実際は大したことじゃない秘密なんだけど、秘密は秘密として打ち明ける機会が来ないまま大人になってしまって、いつまでも夏が終わらない。誰に打ち明けてもなんてことないけど、その相手と約束した様な気持ちになって、それを思い出す度にその相手を探してしまう。
昔、親の仕事の関係でちょっと遠出をしたことがあって、知らない公園で出逢った子と仲良くなって一緒に遊んだけど、その時には名前も何も聞かなかった。もう顔も思い出せないけど、なんとなく楽しかったこととあんなに無邪気に急速に人と仲良くなった記憶だけがいつまでも忘れられない。きっと今出会っても、もう分からないけどつい思い出してしまう。そんなぼんやりとした出来事を態々人に言うこともないから、その子との秘密の思い出の様に思ってしまう。
あの時、帰り際に何か挨拶しただろうか、そんな思い出が貴女にもないですかなんて、出会ってすぐには聞けやしない。
そんな8月の秘密が貴女には有りますか?

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