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君に好きと言えたなら、その時は『初めての呼吸で』

バックホーンの『初めての呼吸で』の話。

僕達は皆、初めての呼吸で理解したはずなんだ、この世界の息苦しさに。だから皆、苦しくてあんなに泣いてしまって、でも、そんな泣き声には何も混じってないキレイさがあったはずなんだ。
でも、そんな特別な初めての呼吸を覚えていないなんて、すごい理不尽に思ってしまう。君はきっと、そんなことに腹を立ててる僕に、
「今日起きて、最初の呼吸をした時のことだって覚えてないでしょ」
って、笑うかもしれない。
でも、なんだか悔しいだろ、そう思わない?
大体、誰もいつから呼吸してるかなんて覚えてないし、いつ呼吸してるかなんてことも考えてない。それでも、何かもっと特別なことで頭がいっぱいで、呼吸を忘れるくらいなら、息苦しくなってきっと思い出せると思うんだ。あのキレイな初めての呼吸を。
ものすごく緊張する様な、初めて人前で歌うときみたいな、そんな時に初めて、呼吸してるって思うだろ?
それって特別だけど、すぐ忘れてしまって、でもそんな特別がまだ人生にはいくつかあって。
だからもし、君に好きと言えたなら、その時は『初めての呼吸で』言えれば良いのに。

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