今、書いている「冒険者の宿屋アーポット亭/凄腕の冒険者が営む宿屋」がもうすぐ書きあがりそうなので、新作をちょっと書いてみました。
次もアーポット亭シリーズです。公募にはどう考えても間に合わないので、コンテスト向けの作品かな。
では、どうぞ。
カーン、カーン――。
澄んだ金属音が、静まり返った村の中に小気味よく響いていた。
まるでその音に導かれるように、細い道を一人の女魔法使いと、大剣を背負ったエルフが歩いていく。
ホッパー:「……マジで行くんすか」
気だるげにぼやいたのは、エルフのホッパーだった。
背中の大剣を揺らしながら、心底うんざりしたように肩を落とす。
ホッパー:「俺っち、ほんと気が進まないんすけど」
その情けない声にも、隣を歩くサーレインはどこ吹く風だった。
サーレイン:「何を言ってるのです、ホッパー」
いかにも当然といった顔で、サーレインはすました口調を崩さない。
サーレイン:「これは、私に与えられた使命です」
そう言って、彼女はすっと胸に手を当て、わざとらしく目を閉じる。
どこか芝居がかったその仕草に、ホッパーは半眼になった。
ホッパー:「どう見ても、ただの気まぐれっすよね。付き合わされるこっちの身にもなってほしいんすけど」
呆れを隠そうともせず、ホッパーはじとっとした視線を向ける。
するとサーレインは、ぴくりと眉を動かした。
サーレイン:「うるさいね。お前は黙ってついてくりゃいいんだよ」
さっきまでの気取った口調はどこへやら。
ぱちりと目を開いたサーレインは、むっと唇を尖らせて言い返した。
ホッパー:「へいへい」
ホッパーは呆れたように肩をすくめ、投げやりに返事を返す。
そうこうしているうちに、二人は金属音の響く建物の前で足を止めた。
サーレイン:「……ここね」
サーレインが静かに告げる。
カーン、カーン――と、澄んだ音はなおも建物の奥から響いていた。