https://kakuyomu.jp/works/2912051605581184181/episodes/2912051607023547846
〇ガウーワとフィロンは、どちらも人間⇒獣への転生者だったので、前世の記憶や人格は残っているものの、今世では虎や蛇の身体で生きている。そのため、食べ物の好みや危険への反応、居心地のよさといった身体感覚が少しずつ獣側へ寄り、前世の人間としての感覚と混ざっている。二人は身体が大きく変化したぶん、むしろ「前世の自分」と「今世の自分」を別物として認識しやすく、時間をかけて両方を自分として馴染ませることができた。ある意味こっちの方が転生イージーモード。前世は前世!今世は今世!がしやすい。
〇レオンハルトは人間⇒人間。身体も生活も前世と同じ「人間」なので、前世と今世の境界を意識する機会が少ない。その結果、「自分はこの世界で生まれたレオンハルトである」という感覚よりも、「三十代まで生きた日本人男性が、子供の身体でもう一度人生をやっている」という認識の方が表に出ていた。強くてニューゲームの気分。
本来のレオンハルトは、愛情深い両親や兄姉に大切に育てられ、神殿に関わる父から信仰や礼節も教えられてきた子供なので、明るく、頭がよく、少し調子に乗りやすいところはあっても、根の部分では素直で真面目に育つはずだった(好感がもてるタイプのなろう系現地主人公くん)
前世の内心やオタク的欲望だけが、異世界転生という“これはフィクション的世界だ”という認識によって現実の対人ブレーキから外れて表へ出ていた状態。
前世の精神が今世の人格へ馴染むのではなく、少し上から今世の人生を操作しているような状態だったとも言える。
夜の雪山で本当に死にかけたことで、『主人公自認』の感覚が初めて崩れた状態。剣も魔法も前世の知識も、自分を必ず助けてくれるものではない。痛いのは今の身体で、怖くて泣いているのも、家族に会いたいと思っているのも、十歳のレオンハルト自身。「主人公だから大丈夫」という根拠のない自信を徹底的に叩き折られたことで、ようやく前世の三十代男性と、今世で愛されて育った十歳の少年が同じ一人の人間として混ざって、いま雪山で1人めえめえ泣いている。
わかりやすく言うと、理性のタガを外した中年男性の悪霊がついていたみたいな状態。前世ではタガは外されてないので、普通にちょっとオタクの社会人として特別な異常性も見せずに生きていた男でもある。匿名掲示板とかSNSでの、リアルではやらん(言わん)やろというものが表に出ていた。