創世樹 第190話 10年以上の恐怖と葛藤 本日朝6:00に更新しました!!
ガイ、ビビってます。それも、本来ならば恐怖せずに突貫するべき時にすくみ上がってしまっています。
何を臆病風に吹かれて、と思う読者さまも多いでしょうが、彼にとってこの情況は深刻なPTSDを刺激するほどのもので、正気を保ってられるのも凄いくらいのものなのです。
だが、このまま固まっていてはエリーもグロウも危ない。彼は自らの弱さを今一度断ち切ることが出来るのか?
……思えば、ガイが己の弱さに苦悩する場面は多く描いて来ましたね。ガイは旅のリーダーで、エリーの愛する恋人ですが、根っからの英雄というわけではなく……結構一行の中では普通の人に近いと思っています。弱さも出るし、恐怖もある。絶望しかけることもある。
それでも彼が負けないのは、やはりエリーへの愛こそが生きがいの全てだからだと思います。苦痛や苦悩を堪えさせるのが愛…………。
ウチの亡き父方の祖父母も、祖父がハッキリ言ってろくでなしで、浮気はする、借金はする、酒も煙草もやる、という酷い男だったらしいのですが、祖母はその祖父をぞっこんなほど愛していました。
亡くなってからずっと、父方の祖父の話題になると、「浮気はするし借金も酒も……」と決まって亡き夫への不満を述べるのですが、その声も表情もとても喜びと幸福感に溢れていたのを印象深く覚えています。
深く強い恋愛というのは損得勘定や被害者意識を超えて、どんな悪どいことも超越して許してしまうのだ、と祖母の話から感じ「恋愛って強いけど恐ろしいなあ」と思ったのでした。
エリーとガイにもそんな強い、苦痛や苦悩を超越するほどの愛があると信じています。