私の作品に触れてくださり、心から感謝申し上げます。
カクヨム限定で初公開している小説『十字架』について書かせていただきます。
この小説は、ルーキー部門にエントリーさせていただきました。正直、私はネット小説の仕組みに疎いため、まだその理解に乏しいですが、度重なる推敲を終わらせ、3月末日までに完成させました。
この『十字架』という作品は、登場人物の名前を変えている以外は、ほぼ事実に基づいています。
私が通っていた広島の五日市観音小学校。体育館の横に屹立していたプラタナスの木。十字架のエピソード。そして、物語の終盤、五日市へ戻るシーンも、すべて現実に私の身に起こったことです。
五日市の町は、記憶の中の風景よりも、小さく見えました。自分は大人になり、そして目の前のあらゆるものが小さくなってしまった……その事実に、私は途方もない悲しみを感じました。
執筆を進める中で、フラッシュバックのように当時の鮮烈な記憶がよみがえりました。涙が止まらなくなることもしばしばでした。当時、彼女が送ってくれた『明星』の歌詞本で、夢中になって歌を覚えたものです。チェッカーズの『神様ヘルプ!』が、心の中でリフレインします。
締め切りぎりぎりまで、数十回に及ぶ推敲を繰り返しました。最後は、短歌を創作するときと同じ感覚で、極限まで言葉を削ぎ落しました。小説の文字数で、この作業を続けるのは、正直、精神がすり減る体験でした。しかし、今の自分の持てるすべてを出し切ったと実感しています。
私は、自分の文体に対して、強いこだわりを持っています。私の文体、そして描くテーマが、ネット小説という世界で、どのように受け止められるのかはわかりません。しかし、私にしか書けないテーマを、私にしか書けない文体で表現していきたいという強い想いがあります。いつか日本の文壇へ加わることを目指し、どこまでも根源的で、切実なテーマを追求していきたいと思います。
この『十字架』という作品が、皆様の心の奥底にある感情に触れ、生きることの意味を見つめなおす、ささやかなきっかけになれば、うれしいです。