新作ラブコメを考え中。試しに載せてみるので、よければいけそうかどうか感想求む(判断力鈍ってるゆえ)
───
1.積極的な男子はお好きですか?
高校卒業までに童貞を捨てられる男子は、統計的に見れば少数らしい。
経験済みかどうかを聞かれて、正直に答える思春期の少年少女がどれほどいるかはわからないけど……俺は信じてみようと思う。
つまり、漫然と高校生活を送っているだけでは、女子とお付き合いして合体することはできないのだ。
ならば能動的に動かなくてはいけない。
それも早い方がいい。高校に入学してすぐに行われた自己紹介で、俺は自分の積極性を見せつけることにした。
「初めまして、|都築《つづき》|陽一《よういち》です。彼女いない歴=年齢のベテランです。高校ではセフレを作りたいと思っているので、経験済みの女子は優しく胸を貸してもらえたら嬉しいです。もちろん未経験な女子も大歓迎ですよ。一緒にエッチな勉強をしましょう。あっ、課外活動ですので安心してくださいね」
頭を下げてからクラスのみんなに笑いかけてみれば、なぜか顔を逸らされてしまった。
しかも教室中が静まり返っている。「ベテランです」と言った辺りは好意的な笑い声が聞こえていた気がするのに……一体どこを間違えたっていうんだ?
「都築」
「はい、なんですか先生?」
呼ばれたので担任の女教師に顔を向けると、なぜかこめかみに青筋を立てていた。
「後で職員室に来い」
「なんで!?」
中学の義務教育とは違う高校生。大人に片足を突っ込んだと言っても過言じゃない立場。
これが社会の荒波か。俺は早速、世の理不尽さを体感してしまったのだった。
◇ ◇ ◇
放課後の職員室。
どうやら入学式の日に職員室に呼び出された生徒は初めてだったらしい。狙ったわけじゃないのに最短記録を更新してしまったな。
「なんなんだあの自己紹介は!」
担任の女教師、|鈴木《すずき》先生が怒鳴り声を上げた。響きが都築と似ているので早くも親近感が湧いている。
学校の必要事項なんかを言っている時はドライでクールな美人さんだったのに……今はそんな印象は嘘だったとばかりの切れっぷりだ。
「自己紹介って、俺何かまずいこと言いましたっけ?」
「まさか自覚がないなんて言わないだろうな?」
鈴木先生の目が殺し屋みたいに鋭くなった。
や、|殺《や》られる!? ここで返答を間違えると確実に|殺《や》られる!
「え、えーっと……もしかして、時間制限をオーバーしちゃいました?」
大きなため息をつく先生。そういう態度は傷つきますよ。
殺し屋みたいな雰囲気はなくなったけど、代わりに呆れたような目を向けられる。さっきまで怒りで身体を力ませていたのに、肘を教員机に突いて緊張感を緩ませた。
「都築、お前ここが学校だってわかってるよな?」
「はい、それはもちろん」
なぜか鈴木先生は再びため息をついた。先生の幸せが逃げないか心配だ。
「先生は都築の恋人関係にまで口出しする気はない。でもな、学校で『セフレ』だの『エッチなお勉強』だのといった言葉が適切じゃないくらいはわかるだろ?」
「え、そうなんですか?」
鈴木先生がガクッと頭を机にぶつけそうになる。ドジっ子かな?
「そこからか……。思春期男子こそ女子の前で性的な話題を避けるものじゃなかったのか……」
鈴木先生が頭を抱える。片頭痛持ちなのかもしれない。女性に多いとも聞くし。
だったら、早く話を終わらせた方がいいだろう。
「言葉選びがいけなかったのなら謝ります。ですが、俺は大人から『嘘をつかず、正直な人になりなさい』と言われて育ってきました。だから俺の自己紹介に嘘はありません。それだけは信じてください!」
真剣な気持ちで鈴木先生を見つめると、机をドン! と叩いて返されてしまった。
「正直なら許されるわけじゃないんだよ! 時と場所と場合をわきまえてだな……って、こういうこと全部言わなきゃいけないのか?」
「はい。俺に落ち度があるのなら直しますので、ちゃんと全部言ってください」
「そこまで真面目なのに、なんであんな自己紹介をしようって思い至ったんだ……」
鈴木先生はまた頭を抱えた。やはり片頭痛か。
そして先生は、懇切丁寧に教室での自己紹介の内容のどこがダメだったかを説明してくれた。
「なるほど……つまり、恥ずかしいから大勢の前で性的な話題を出してはいけなかったんですね」
「ああ、うん……とりあえずわかってくれたのならいいや」
鈴木先生はぐったりとしていた。何度も質問を繰り返したから疲れさせてしまったのだろう。
「まったく、最近の若者の羞恥心はどうなっているんだか……」
ポロリと出た先生の言葉は、たぶん独り言だったので無視した。
「鈴木先生、ご指導ありがとうございました! では、これで失礼します!」
俺は礼をしてから職員室を後にする。
「帰っていいぞ」と言われてはなかったけど、今なら勢いで帰れると思った。引き留められなかったから大丈夫なんだろう。
こうして、俺の高校生活が始まったのだ。
スタートダッシュに失敗してしまったっぽいけど、まだまだこれから挽回できるだろう。
できるだけ早く童貞を卒業するためには何をすればいいのか。家に帰ったらしっかり考えよう。反省から学ぶことはたくさんあるからな。
◇ ◇ ◇
しかし、俺はもっと先生の話をよく聞いておけばよかったと後悔することになった。
新しいクラスになって二週間。
そろそろ新しい顔ぶれにも慣れてきて、クラスのグループが出来上がってくる頃合い。
「……」
そんな中で、俺はぼっちになっていた。
そしてもう一人……早くも登校拒否し始めた女子がいたのであった。
───
あらすじ的にはエロいことに積極的な主人公が悩めるヒロインにぶつかっていく話(解決するとは言ってない)
個人的な印象は職員室のシーンをカットして、ヒロインを出した方が良かったかもと考え中。なんか主人公の発言もエロいことに興味津々以上に常識知らずな感じが出すぎてるかなと(どうだろう…)
よかったら面白かったとか気になった点など意見をいただけたら嬉しいです(迷える書き手に愛の囁きを!)