『13番目の僕の魔女』のプロット冒頭。
1行にまとめた起承転結を書いて、原稿用紙1~2枚のあらすじを書いて、それから、こんな感じのプロットっぽいものを書いてから執筆してます。
・「//」って行頭にあるのは注釈です。エディタ上で見ると、このダブルスラッシュの行には色が付いて見えるようにしてあるのです。
・ふつーはセリフは入ってないと思います。私は思いついたセリフは忘れちゃうので、プロットと一緒に埋め込んであります(^^;
(見本)
●詳細プロット
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起
主人公の少年と魔女が出会い、仲良くなる。
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(桜のすっかり散った頃。とある日曜日/自宅近くの歩道橋)
・主人公の姫宮一希(ひめみやかずき)は、家の近くのコンビニまで行こうとしていて、信号待ちをしている。ちらりと歩道橋を見る。その歩道橋は、階段が急なために誰も使わない「渡らずの歩道橋」。信号が変わりそうにないので、歩道橋を使おうかと思う。
・歩道橋を見上げたとき、一希は歩道橋の上できょろきょろと周りを見廻しているひとりの少女に気付く。金髪のまぶしい外国人の少女(マリア)で、手にしたメモらしき紙と周囲とを交互に見比べながら、何かを探しているようす。と、その地図が風に煽られて少女の手から空へ舞いあがる。
・反射的に少女は紙を掴もうとして、細い欄干の上にふわりと飛び上がる(魔女は全てデフォルトで身体が軽い)。見上げる一希は、それを見てぎょっとしてしまう。あまりにも危ない。だが、「渡らずの歩道橋」だけあって彼女の傍には誰もおらず、地面を歩いている人たちは誰も気づいていない。気付いているのは一希だけとわかって、たまらずに一希は歩道橋を駆けあがる。
・驚かせてはかえって危険だと、声をかけずに必死に駆け寄るが、歩道橋を昇り切った一希は驚くべき光景を目にするのだった。欄干の上で、金髪少女は必死で宙に手を伸ばしている。良く見ると、彼女は、足首を手のひらサイズの七人のノームたちに抑えさせていた。そして次に召喚したシルフたちを使って、メモを取り戻したのだ。つまり、魔法を使っていた。メモを取り戻して天真爛漫な会心の笑みを浮かべる少女(主人公、笑顔にどきどき)
・無事にメモを取り戻す少女。だが、ほっとしたためか、召喚したノームが消えると、欄干の上でバランスを崩してしまう。歩道橋のほうへと倒れてくる少女。間一髪のところで一希は間に合って、彼女を受け止めることに成功する(お姫さまだっこ)。
・たどたどしい日本語しか話せない少女だったが、マリアという名前と、道に迷ったらしいことはわかる。姉たちとはぐれてしまったらしい。生来の優しい性格ゆえに、不思議な少女だとは思ったものの、困っている彼女を見捨てられずに道案内をすることに。
・女顔の一希はマリアに女性だと思われ(※2)、あっという間に仲良くなる。
//お姫さまだっこの時点で、男だとばれないとおかしい、という場合は、お姫さまだっっこをもう少し穏やかなものに変える。
・マリアは、公園に近づいたところでもじもじしだす。トイレに行こうとするが、そこでようやく一希が男だと気づく。勘違いに真っ赤になるマリア。
・マリアの魔法が暴走して、小さな四大精霊たち(シルフ、ノーム、ウンディーネ、サラマンダー)が現れて、わちゃわちゃと一希に襲い掛かってくる。しかし、みそっかす状態のマリアの魔法はたいしたことがないので、一希に深刻なダメージはこない。足止めされる一希を残してトイレに逃げ込むマリア。
・そこにマリアの知り合いらしい女性たち(姉魔女たち※3)が現れて、マリアの後を追う。
//姉魔女たちも魔女だとわかるように描く。
・一希は、姉たちにマリアを任せてその場を去る。ほっとしつつも、寂しい感じ。
(続き/一希の自宅)
・一希、帰宅。かなり広い日本家屋である一希の家は、がらんとしていて(両親は不在)、急に孤独を感じてしまう(このためには、マリアとのやりとりが賑やかで楽しいものである必要あり)。一希の両親は考古学者で、小さい時から海外でフィールドワークばかり。一希は子どもの頃からひとりだった。
・靴を脱いで、ドアを戸締りしようとしたところで、チャイムが鳴る。開けるとマリアがいる。
「あなたが……カズキだったの?」
・そうだと答えると、ぱっとマリアの顔が明るくなる。
・驚いたことに、マリアは、たどたどしかった日本語が流暢になっている。先ほど目の前で見た魔法とともに、マリアがただの少女ではないとわかる。
・マリアは一通の手紙を差し出してくる。それはイタリアで遺跡発掘をしている考古学者の両親からだった。
・手紙には驚くべきことが書かれていた。マリアは魔女(ストレーガ)であり、『レアルタ』と呼ばれる魔女狩りの組織に追われているのだという。日本には、「魔女が幸せに暮らすために必要な魔法のアイテム」を探しに来たらしい。
//マジーアと呼ばれる魔法の力は女性にしか発現せず、ゆえに世界には魔女しかいない。しかも魔女は一代限りで子どもを残せない。そんな貴重な魔女の力を独占しようとしている組織が『レアルタ』なのだ(『レアルタ』についての説明は後回し)。
・手紙の文面からすると、両親はマリアの事情に同情的なようす。そして、マリア「たち」を家にホームステイさせるようにという内容だった。
・両親の頼みでは無碍にもできず、とりあえず家に上がるように言うと、どこに隠れていたのか、どやどやとマリアの姉3人(アルマ、ビアンカ、カルロッタ)も家に入ってくる。
「四人姉妹だったの!?」
「いいえ。ここにはいないけど、お姉さんは十二人いるの」
「じゅ、じゅうに~!?」
「心配しなくとも、まだ日本に来ているのは、わたしたち四人だけだから!」
「それって、これから来るつもりって言ってないか……?」
「はい!」
「えええー!?」
「お姉ちゃんたちは、みーんな、きれいで美人できれいなお姉ちゃんなんです!」
「(イタリア美女が十二人……? ちょっと見てみたいかも。いやいや)」
・一希の家は、たちまち姦しい姉妹に自宅を占領されてしまう。ただし、幸いなことに、一希の家は、たとえ十二人の姉が押しかけても大丈夫なほど大きな家だった(それゆえ、一希はいつも孤独をひときわ強く感じている)。
・古い日本家屋の大きな家に驚くイタリア娘たち。イタリアの常識しか持っていないマリアと姉たちは、異国の常識を持ち込んでくるので、一希は姉たちの暴走を止めるのに手を焼いてしまう。へとへとになる一希。
//3姉妹の口調と性格
//アルマ(おっとり)「初めまして、一希さま。ご両親さまから伺っていますわ。とても優しい良い子だと。うふふ」
//ふわふわ髪のおっとりした長女。だが《女教師》の魔法を使うときは、自動的にひっつめの三つ編みに変身して、手には短い鞭を持っていたりする。
//ビアンカ(活発)「ボクたち全員を、まとめて面倒みてくれるんだって? キミってば、なかなかいいヤツじゃん!」
//ショートカットのボクっ子。さばさばした性格だが、《お針子》の魔法を使うときは、意外と家庭的な側面を見せたりする。
//カルロッタ(内向的)「お姉さまたちが良いなら、わたしもそれで……」
//ストレートロングの静かな子。あまりしゃべらないが、《ピアニスタ》の能力を使うときは、情熱的な一面を見せる。クラッシックだけでなくロックも好き。
……
(見本終わり)
こんな感じで、ずーーーっと最後まで書いてあるのだった。