鬼ノ目

それを彼女は疑うことなく、愛として受け入れた。 過ちを重ねて、自分を騙し続け、拠り所を求め続けた結果、何一つ手放せぬ、儘。 人の真似事だと分かっていながらも、それ…

どれだけ、どれだけ██が彼女の幸せを願おうとも。 彼女に明るい未来が訪れることを望もうとも、それらが叶うことはもう無い。 もし叶うことがあったのならば、それで██…

季節、というものは、その足取りを止めてはくれない。 やっと見上げることが出来た時には、既に彩りは損なわれてしまっている。 足元に散らばった花弁を、一人踏みしめ――て。 そ…

幕府の勅命により、長く異国の民の侵攻を退けてきた、島国の北端・津軽。 そこは人ならざる者達が、行き場を失った者達が身を寄せ合う、哀しき、忘れ去られた土地。 晦の晩…

藤原和馬は、それを優しさと呼んだ。 その言葉がなくては自分はずっとあのまま、今でもきっと、あの時と変わらずに抜け出せぬままでいたやもしれない。 あの時、あの人が自分にそれ…

甲州街道・吉野宿にて、彼女は出会った。 青い髪に赤い目をした、自身と同じように特異な、この島国においては忌むべき“色”を持ち生まれてしまった、“色持ち”の子ども。 …