こんにちは。
新作のお知らせです。
虎口の追憶11〜雪乞いの島〜を本日から毎日1エピソード投稿していきます。本作から、いよいよ薬雪の謎に迫っていきます。お楽しみください。
【本作のハイライト】
舞が終わり、間を置いて天鼓が鳴り、その後に雪が降った。
時刻を確かめ、社へ目を戻す。
祈祷師が柱に寄りかかっていた。
一歩踏み出そうとして、膝をつく。
「祈祷師様!」
アサヲが駆け寄り、老人の手首を取った。
「大丈夫ですか?」
「……少し、疲れただけじゃ」
掠れた声だった。
「今の雪は、あなたが降らせたんですか?」
「わしは……舞っただけじゃ。降るかどうかは、わしにも分からん」
「以前にも?」
「ああ。昔、島で病が流行った時にもな」
「どんな病気です?」
「喉の病じゃ。熱が出て、息が苦しくなる者もおった」
「その時も雪乞いを?」
「雪が降って……皆が助かった」
老人は小さく頷いた。
「だから今回も、村の者たちに……」
(第四節より抜粋)