前回の豆知識の、その1のその後、
|律を唱える思い出《リフレイン・メモリー》を編み出した偉大なる人物――、その者は同じくエリートの1人息子と王都に居住し、首に輪を、鎖に繋がれる側として例の事故現場に。
そして、あの瓦解に呑み込まれたひとりであった。
運良く離れたところで巻き込まれずにいた息子は、不貞腐れてトボトボ歩きの勇者とすれ違いで、救出へ。
本能的に今までまともに扱えずにいた父の魔法を、|律を唱える思い出《リフレイン・メモリー》を我が物とし、再会を果たす。
だが、
建築材料の一部、銀白色の長く分厚い金属板からは、粘り気のある真っ赤な鮮血が一面ベッタリと広がり、肉から無理やり剥がされた薄皮が引っかっていた。
魔法のチカラにより元のカタチに戻っていくにつれ、さっきまで食べていた残飯を撒き散らす腸やオモチャだと疑いたくなるような同じ目の色の紐付き目玉が。
また、能力発動を知らず、奇跡的に生存・救出に遅れて乗り込んだ者たちは巻き添えを喰らって、皆死亡。
勇者は、周囲の重要人物の保護に当てがわれ、不在。
噎せ返るくらい多種多様な鉄の匂いが充満し、誰が誰なのかもわからない骸と呼ぶべきかも怪しい肉塊に、
放心状態で只管に立ち尽くしていた息子の足元に、
手を握りしめたままもげた父の腕が転がってきた。
その日、青年は記憶魔法のずば抜けた技術力の高さを買われ、凄惨な事故処理の一切を単独で命じられた。
傷一つなく、再利用が可能とされる材料のために。
青年のその後を知るものは、誰もいない。
ただ、現場に奴隷の烙印を押された手を捨てて……。
豆知識、その2。
ギルドは酒場の合併することで収益に大きく貢献し、なんとかやってけるが、夕方から深夜にかけてはっちゅーしゃ(依頼人)とアルバイト(ぼーけんしゃ)、
この両方が目に見えて減ってしまう。だから近年では夕方から飯処に、深夜に居酒屋に大変身するそう。昼間の酒場との明確な違いは確か税金? だったかな。
従業員も、ギルドの受付嬢以外は変更しないらしい。
(ギルドは24時間フルタイムで業務が続いているから)
ちなみに、一番給料が高いのは受付嬢。労働時間も受付嬢。一年で、高等学院の学費を稼げるくらいには。
豆知識、その3。
飯処のアイドル・料理人のお手製、大雑把レシピ
旬の採れたて野菜[根菜がお勧め]や、きのこを、
出来るだけ切らずにそのまま形を保ったまま、
尚、微量魔素・無農薬の野菜の皮は残した上でと、
肉は羊か牛の{部位おまかせ}やや塊のままに、
その地域の香り逃げぬ出汁と調味料と共に煮込み、
あとは火が通るのをじっくり待つだけ。
寒い日に心まで温まる絶品料理、ぜひご賞味あれ!
占めて、銅貨6枚。仕事終わりの方には格安で提供?
その3、の続き、
飯処の新鮮な食材。
新感覚の魔法・術を用いた冷凍食材に依存せずに、大国の王都ならではの流通網で取り寄せは一瞬だそう。
魚は海が近くになく輸入で鮮度に難あり、他の店じゃ肉は神聖なモノで場違いだといい、主に雑穀や豆類、他、主食など腹持ちの良いものを入れるそう。
でも、ココは日によってパンや粥などと合わせ、
満足のいく言わば定食メニュー。
その3、の続きの派生。
《あのパンと視線の謎》
その日は運悪く、パンの材料が尽きていて、
奴隷用のしか無かった。
だが、メニュー表も見ずに「いつもの」を貫く、勇者様|御用達《ごようたし》の無茶な要望に已む無く応えた結果だった。
その3、の、続きの派生の寄り道。
例の飯処に在籍するゴブリン、
今ではホールスタッフ役を担当しているが、
以前はコックで、かなりの腕前で評判も良かった。
実は現在のアイドル受付嬢に料理を教えたのも、彼。
特に周りからの命令があったワケでは無く、
食材を台無しにする行為と成長を求める受付嬢に、
プライドが昂ったからとされ、周りはそれを知らず、一刻も早く解雇の口実を得ようとして役職を変更。
も、肉体に奴隷の烙印を宿している者には珍しい、当の本人は現状に満足しており、割と人生を謳歌。
その3、の、続きの派生の寄り道の原点回帰。
受付嬢は逆に今の在り方に不満を抱えており、
無事に学園を卒業したは良いものの、諸事情で家出の身ゆえに費用がかさんでしまった結果、|賄《まかな》いや住み込みの好条件を理由にココへ帰ってきてしまった。
早く独り身を脱却、あるいは生きがいを求めている。
主にクソ客の対応に限界を感じ、いつか見せしめに誰かしらぶっ殺してやりたいと心の底から願っている。
豆知識、その4。
歴史的快挙を残した人物の身分証には二つ名を刻む。
そして、一個人の称号&異名は、異常者に値する。
初めのうちは、勇者もその一つだとか。
その4の派生。
冒険者が持つ身分証、これはギルド創設者が元々、戦争経験者で夢だけ見る連中とは別に、先を見越して。だから、所属の手続きんとき、2枚もらえる。
豆知識、その5。
あの神々しい女神様の首飾りも、勇者を歴史を綴り崇め奉る聖なる書物も、昔は馬鹿みたいに売れていた。
時代の波だな。